中東アウェーで感じた「歴代最強」たる所以 笑顔と悔しさ…森保Jメンバーの“素顔”から紐解く強さ
異国取材に対応した選手たちの声から考察
森保一監督が率いる日本代表は現地時間9月10日、アウェーで行われた2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の第2戦バーレーン戦を5-0の勝利で終えた。異国で垣間見えた選手たちの素顔にスポットライトを当て、「歴代最強」とも称される森保ジャパンの実像に迫る。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也)
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バーレーンに来て、最初にマイクを向けた相手はDF板倉滉だった。移動の疲れを感じさせない爽やかな笑顔で登場。日が落ちた18時過ぎではあったが、30度を超す気候でトレーニングを終えた板倉は「気は抜けない」と相手に警戒を強めていたが、記者に対してはにこやかな笑顔で対応してくれた。9月5日の中国戦(7-0/ホーム)と合わせてフル出場し、今後も最終ラインの要となるはずで、3バックで機能した経験も森保ジャパンにとって好材料だろう。
同日、「いまだ緊張しています」と正直な感想を漏らした新戦力DF望月ヘンリー海輝は“真面目”な第一印象。回答からもひしひしと伝わってくる大卒1年目は、このA代表で大きな刺激を受けてきた。残念ながら5日の中国戦(7-0/埼玉)はベンチ外、10日のバーレーン戦も、2日前の練習で右足首を捻挫して出場は叶わなかった。それでも帰り際の空港ではしっかりとした足取りで歩いており、軽く会釈する姿も。さらに成長してこの舞台に帰ってくることを期待したい。
中国戦で途中出場だったFW小川航基は、8日の練習後に「個人としてストライカーとして、悔しい思いはある」と胸中を明かした。限られた出番の中でも結果を残そうという闘争心、加えてこちらも板倉同様、時折笑顔も見せリラックスした表情だった。
こうした雰囲気の良さは、4度のW杯出場経験を誇るベテランDF長友佑都が「みんなが要求し合うっていう部分ができているから、非常に今、いいチームになっている」「歴代最強のチームだなってのは僕は今感じています」と話していることからも分かる。実際、居残り練習する選手たちも猛暑の中で充実感あふれる動きを見せていたのは、印象的だった。小川はバーレーン戦でも途中出場し、待望のゴールをゲット。この試合2得点だった上田からのポジション奪取を見据え、今後もクラブで成長を目指す。
一方で、悔しい思いをにじませた選手もいる。バーレーン戦の前日練習後に取材対応したFW細谷真大は「今の自分を受け入れて、それが自分の実力ですし、しっかり這い上がれるように準備してきました」と、中国戦でベンチ外となった心境を口にした。その表情は明るくはないが、「点を取ることしか意識していない」とストライカーらしさ全開で静かに語った。結果、バーレーン戦でも出番を得ることは叶わなかったが、その悔しさを胸に、所属する柏レイソルに帰って鬱憤を晴らす姿に期待したい。
ほかにも中国戦、バーレーン戦ともに出場機会のなかったDF菅原由勢が「自分がピッチに立った時に出せるところは出していかなきゃいけない」と真面目な表情で答えていたことも記憶に残った。帰りの空港では明るく記者へ手を振るなど普段の一面も見せていたが、今の日本代表のポジション争いは熾烈だ。
アウェーの地バーレーンで見た森保ジャパンは、中国戦の勢いのまま、いい雰囲気が漂っていた。昼間は気温40度に達し、日差しを受けるだけで汗がシャツににじんでしまうような湿度も含んだ環境。そして満員となった試合会場のアウェー洗礼を跳ね返した日本の強さは選手が示してくれた。10月には再びアウェーでサウジアラビア(ジッダ)との一戦も控えるなか、日本サッカーの未来は明るい兆しが差し込んでいる。
(FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也 / Kenya Kaneko)