森保Jの攻撃は「しつこい」 2戦12発…OB絶賛の“ボディブロー攻撃”「じわりじわりと効く」【見解】
【専門家の目|金田喜稔】アジア最終予選で2連勝スタートの日本が圧巻の強さ披露
森保一監督が率いる日本代表は、2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選で2連勝と好スタートを切り、12得点0失点と圧巻の強さを披露している。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、9月シリーズで12得点が生まれた要因について持論を展開した。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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9月5日に埼玉スタジアムで行われたW杯アジア最終予選初戦の中国代表戦で7-0と完勝した森保ジャパンは、同10日にアウェーで行われたバーレーン代表戦でも5-0と快勝したなか、“ボディブロー攻撃”が効いたと金田氏は力説する。
「バーレーン戦では序盤から上田(綺世)、南野(拓実)、鎌田(大地)らが相手背後への飛び出しをしつこいぐらいに再三狙っていた。ああいう裏を狙う攻撃がじわりじわりとボディブローのように効くし、相手守備のスライドが少し遅れたり曖昧になると、その隙を突くだけの判断力と技術が今の日本代表にはある」
9月の2連戦では前半に3ゴール、後半に9ゴールが生まれている。数字だけを単純に比較すれば3倍の違いがあり、前半の出来には改善の余地があるとの見方もできるが、金田氏は言う。
「中国戦でもバーレーン戦でも、序盤は相手が神経を研ぎ澄ませて守っているし、日本がしばらくゴールを奪えない前半の時間帯もあった。それでも日本側からすれば、効果的なボディブローを打ち続けている状況で、相手が疲弊して動きや判断が鈍る隙を狙っており、実際後半のゴールラッシュにつながっている」
また金田氏は、相手が受け身にならざるを得ない効果的な状況を日本が作り出していると分析する。
「日本は両サイドのウイングバックに強力なアタッカーを配置。2シャドーと1トップは絶え間なく動き周り、相手最終ラインのギャップや裏を狙い、5人がそれぞれ効果的に絡むことで綻びを突くことに成功していた。日本の強力な両サイドに神経を尖らせ続けるには限界があるし、そうなるとスペースも徐々に空く。また、攻撃時に見せる3バックのビルドアップ力も向上し、多角的な仕掛けを実現しているのも大きい。相手最終ラインの背後を突ければ狙うし、その動きで空いた中央のスペースを使ったり、サイドを使う選択肢もある。複数の効果的な選択肢がある状況で相手は受け身にならざるを得ないし、時間の経過とともに綻びが生まれる可能性が高くなる。そうした複合的な要因により、2試合で12ゴールが生まれた」
2連勝でアジア最終予選グループCの首位に立つ日本。10月10日(アウェー)にサウジアラビア代表、同15日(ホーム)にオーストラリア代表との連戦を控えるなか、再びのゴールラッシュとなるか注目が集まる。
(FOOTBALL ZONE編集部)
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。