日本代表OBが絶賛…最終予選“躍動”で「定位置確保の可能性」 森保Jの16選手採点
【専門家の目|金田喜稔】「工夫」も見せた谷口、町田は「このまま定位置確保も」
森保一監督が率いる日本代表(FIFAランキング18位)は現地時間9月10日、バーレーンのリファーで行われた2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の第2戦でバーレーン代表(同80位)と対戦し、5-0の快勝を収めた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、この試合に出場した日本代表の16選手を5段階(5つ星=★★★★★が最高、1つ星=★☆☆☆☆が最低)で採点した。
◇ ◇ ◇
<GK>
■鈴木彩艶(パルマ/イタリア)=★★★★☆
持ち前の俊敏性やキック力を発揮する場面は限られ、大きなピンチもないまま試合終了。プレー関与自体が少なかったが、最終ライン裏のスペースは常に意識しながら無失点に貢献。
<DF>
■谷口彰悟(シント=トロイデン/ベルギー)=★★★★☆
3バックをそつなく統率し、板倉と町田を上手く押し上げながら攻撃もサポート。縦につけるパスも的確で、時にダイレクトで送って攻撃のテンポを上げる工夫も見せた。4点目は谷口が鎌田に通したダイレクトパスが起点だった。
■板倉 滉(ボルシアMG/ドイツ)=★★★★☆
カウンターも警戒しながら的確な守備位置を取っていた一方、ソツのないパス回しで攻撃のリズムを維持。欲を言えば、前半はより積極的な持ち上がりで攻撃に厚みを出せれば、右サイドはより活性化していたか。
■町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ/ベルギー)=★★★★☆
ビルドアップ時にはより高めのポジショニングを常に意識し、三笘との適度な距離感を保ちながら攻撃をサポート。前線につけるパスの質は判断にも優れているし、守備対応も安定。今の出来であれば、このまま定位置確保の可能性も。
「気持ち良くプレー」の守田、「攻守ともに高水準」の伊東
<MF>
■守田英正(スポルティング/ポルトガル)=★★★★★
OUT→後半37分
3バックの間に下りてゲームメイク役を担い、指示も出しながらパスを散らし、ゴール前に顔を出して2ゴール。まさに圧倒的な存在感。気持ち良くプレーできていたと思うし、輝きを放っていた。
■遠藤 航(リバプール/イングランド)=★★★★☆
PK奪取につながる鎌田へのパスはさすが。動き回る守田に合わせてポジションの微調整を繰り返し、中盤のバランスを保ち続けて守備の強度を維持。相手に付け入る隙をほとんど与えなかった。
■三笘 薫(ブライトン/イングランド)=★★★★☆
OUT→後半28分
アシスト時の突破は、これぞ三笘。前半から要所で仕掛けて相手に脅威を与えていたし、突破しなくても相手を2人引き付けるなど、そこにいるだけで大きな影響力を行使。突破、キープ、味方使うなどの判断も良く攻撃を活性化していた。
■堂安 律(フライブルク/ドイツ)=★★★☆☆
OUT→ハーフタイム
三笘のクロスに飛び込んだ場面は好判断で、あと一歩でゴールのシュートも披露。右サイドはやや流動性や連係に乏しく、個人では打開には至らず。これまで久保とは好連係を見せてきたが、この日は2シャドーとのコンビネーションにやや課題を残した。
■伊東純也(スタッド・ランス/フランス)=★★★★★
IN←ハーフタイム
後半投入直後から好影響を与え、ゴールラッシュに貢献。背後を常に狙い、クロスも相手が嫌がる場所に放り込んでいた。守備への切り替えも早く、攻守ともに高水準。上田のゴールにつながった落としも秀逸で結果を残した。
■中村敬斗(スタッド・ランス/フランス)=★★★★☆
IN←後半28分
いつもどおり自分のリズムで仕掛け、先手を取る突破から効果的なクロスを供給。あまり角度のないところからもシュートを放つなど積極性も光った。小川のゴールは、中村の仕掛けから生まれたもので、攻撃にアクセントを加えていた。
■浅野拓磨(マジョルカ/スペイン)=出場時間短く採点なし
IN←後半37分
限られた時間のなかでも積極的にシュートを放つなど貪欲な姿勢を見せ、ゴールの匂いも感じさせた。
判断力が光った鎌田、趨勢を決定づけた上田 途中出場の久保は「楽しそうにプレー」
<MF>
■鎌田大地(クリスタル・パレス/イングランド)==★★★★☆
ピッチ全体を見渡す力、局面の判断力に優れている。どこを突くのが良いのか、下がって受けたほうが良いのかなど、観察力や修正能力が高い。献身的なダイアゴナルランなども含めて、目立たないところでもチームを助けていた。
■南野拓実(ASモナコ/フランス)=★★★★☆
OUT→後半20分
絶え間なくスペースを狙う動きや姿勢を見せて相手をけん制。ゴールはなかったものの、相手を疲弊させる効果的なプレー。チーム2点目の場面では、素早い守備への切り替えでボールを奪取し起点になっていた。
■久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン)=★★★★☆
IN←後半20分
2シャドーの一角で縦横無尽に動き、ボールを引き出す動きが巧み。安心して味方もボールを預けているし、ボールを持つとさまざまな選択肢を持ったプレーをする。プレー時間は長くなかったものの躍動感があったし、楽しそうにプレーしている姿が印象的だった。
<FW>
■上田綺世(フェイエノールト/オランダ)=★★★★★
OUT→後半20分
絶妙なトラップからのポスト直撃弾は圧巻だったし、守田のゴールを演出したポストプレーも見事。相手の背後を常に狙い続ける献身的なランニングでチームを助け、前半のPKを含めて連続ゴールで試合の趨勢を決定づけた。まさにストライカーの働き。
■小川航基(NEC/オランダ)=★★★★☆
IN←後半20分
試合を重ねるごとにチームへのフィット度が上昇しており、見事に1ゴール。常にゴール前で的確なポジションを取ろうと心掛けているし、その結果がゴールにつながった。
(金田喜稔 / Nobutoshi Kaneda)
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。