なぜW杯最終予選で2戦12-0が実現? 日本代表OBが解説…森保ジャパンの新たな「生命線」【見解】

敵地でバーレーンと対戦した日本代表【写真:Getty Images】
敵地でバーレーンと対戦した日本代表【写真:Getty Images】

【専門家の目|栗原勇蔵】伊東純也の復帰で「攻撃の幅が広がる」

 森保一監督率いる日本代表は、現地時間9月10日に行われた北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第2節でバーレーンに5-0で勝利した。初戦の中国戦(7-0)に続く快勝劇で、2戦合計スコアは12-0。対戦相手も関係するとはいえ、日本代表OB栗原勇蔵氏は、森保ジャパンの強さの「生命線」について分析している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 日本は9月5日に行われたアジア最終予選初戦の中国戦で、MF南野拓実が2ゴールを挙げるなど7-0と快勝を収め、勢いに乗ってアウェーの地バーレーンへ。中国戦からはスタメン1人を代えてMF鎌田大地を起用し、3バックを引き続き採用して臨んだ。

 日本はボールを握るも攻めあぐねたなか、前半37分にFW上田綺世のPKで先制。そして後半の立ち上がりに上田が2点目を決めると、MF守田英正も2ゴールを奪取する。さらに、途中出場のFW小川航基も後半36分にダメ押しゴールを決めて5-0とした。

 ボール支配率76.1%対23.9%、パス本数607本対188本、シュート本数14本対3本(うち枠内9本対1本)とバーレーンを圧倒。最終予選最初の2試合で見ても、合計12-0と結果を見れば申し分ない。日本代表OB栗原氏も「ここまで(日本とアジア他国で)差があるかということが分かった9月シリーズ。アジア出場枠が(8.5に)広がっているとはいえ、昔の2次予選のような感覚です」と、森保ジャパンの戦いぶりを評価する。

「格下と言われる相手が守りに入ると、以前だったら引かれて90分のうちになんとか点が取れるかなという感じでしたけど、今の日本はインテンシティーが高く、常に速いスピードで攻め続けているので、バーレーンのような守り方をしても守り切れない。逆に、なぜ(今年カタールで開催された)アジアカップであんなに苦戦したのかと疑問に思うくらいです」

 栗原氏は「バーレーンはスピード、フィジカル的なパワー、戦術、日本に勝るものは何もなかった」と指摘しつつ、アジアカップ以来の復帰となったMF伊東純也の存在の大きさについて触れている。

「伊東はパス&ゴーもできるし、人も使うし、右足でセンタリングも上げられるので、攻撃の幅を広げられる。そして、伊東は意外にヘディングが強く、左サイドからのクロスに中でも勝負できる。その分、2列目の選手も(ゴール前に)入ってきやすいかなと。堂安(律)が悪いとかではなく、オプションも増えるなという印象です」

 2試合で計12ゴールを奪った攻撃はもちろん、180分間無失点の堅守も評価されるべきだと栗原氏は語る。

「今はとにかく守備がいい。相手がボールを持った時に一気に囲い込んで1対1にさせないし、ピンチになるような雰囲気もほぼない。守備の切り替えが早い。相手が上がってくるスピードよりも(日本の)下がるスピードのほうが速いので、相手がフリーで持てなくて下を向いているから周りも見えていない。今、日本が攻め続けられる要因。これが生命線だと思います」

 10月はサウジアラビア、オーストラリアという9月シリーズよりも地力のある強豪との対戦になるだけに、森保ジャパンの真価が問われることになりそうだ。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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栗原勇蔵

くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。

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