浦和チームメイトへ響かせた「時間考えろ!」…海外から帰還し抱いた違和感「向こうではない」
浦和に復帰のMF原口元気、ミニゲームでの軽いプレーに意見
浦和レッズは9月7日にさいたま市内で元日本代表MF原口元気の加入会見を実施した。試合終盤に勝負弱さを見せてしまうチームの精神的な部分での補強になることも大いに期待される。
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浦和の下部組織出身の原口は、ユースチーム所属時の2008年5月に17歳で2種登録されてトップチームの公式戦にデビュー。翌年にプロ契約を結んだ。左サイドを中心に攻撃的なポジションで試合出場を重ね、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が指揮した2013年にはシャドーの位置でFW興梠慎三らと強力攻撃陣を形成してリーグ戦で11得点をマークした。
そして、2014年6月にドイツのヘルタ・ベルリンへ完全移籍。日本代表では2018年ロシア・ワールドカップ(W杯)に出場し、決勝トーナメント1回戦のベルギー戦で先制点を奪うなど活躍した。ドイツでは1部、2部合計で10シーズンプレーして浦和への復帰が決定。背番号は「78」に決まった。原口は今週に入ってチームに合流していたが、会見前に非公開で行われた拓殖大学とのトレーニングマッチで原口がゴールしたことを浦和は明らかにしている。
原口は正式加入発表前の8月31日にFC町田ゼルビア戦を浦和のチームメイトと観戦する姿も目撃されていたが、ピッチ上の関わりという点では6月に練習参加をしている。その際に、ミニゲームで原口の入ったチームの選手が1点リードの残り時間が少ない場面で軽いプレーをしたことで逆襲を受けて失点。ピッチ上で「時間考えろ! 勿体ないって!」と声を張り上げた。
その後の取材対応でも、「(ドイツの練習では)勝負に1回1回こだわる。最後の失点のようなことをやったら、そのチームの選手全員から責められるような感じ。ああいうミスは向こうではあまりない」と指摘していた。
「原口元気はすごいと思ってもらえるプレーをピッチ上で示せるように」
その町田戦でも浦和は2-1とリードした後半アディショナルタイムに追加点という場面をオフェンスファウルで潰してしまい、ほぼラストプレーで追い付かれての引き分けで勝利を逃した。原口は会見でそのような部分の改善について「その都度、言っていくことだと思う。ここ数日でもそういうプレーは何度か見受けられた」と話した。
10年ぶりのJリーグ、浦和への復帰とはいえシーズン途中加入でもあり「まだチームに入って数日だし、色々と気づいたところはあるけど、今はどちらかというと自分にフォーカスするというか、ピッチ上で自分が価値を示せないと意味がない。いきなり気になったことを口に出しても、若い選手が聞くかどうかも分からない。まずは、原口元気はすごいと思ってもらえるプレーをピッチ上で示せるように」と、まずは自信のプレーに目を向ける。
一方で堀之内聖スポーツ・ダイレクター(SD)が「ピッチ上ではチームを勝たせる存在。ピッチ内外でのリーダーシップを期待している」と話せば、同日に就任会見をしたマチェイ・スコルジャ監督も「素晴らしいプロフェッショナルだろうという印象を持っている。今シーズンの残りで彼のスキルや経験がチームに貢献すると思っている。スキルの方は前から彼のことを知っていたので分かっていたが、彼のキャラクターの部分で良い驚きを感じている」と、テクニカルな部分だけでないところへの期待を込めた。
今季の浦和は前半終了間際やハーフタイム明け、そして試合終了間際といった勝ち点に影響を与えやすい時間帯の失点が多い。原口の加入が精神的な引き締め効果も発揮して、勝負弱さを出してしまうチームに対する補強になることも期待される。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)