鈴木彩艶に「仕事はなかった」 日本代表OBが持論、ピンチ皆無も「使ってもらえる信頼度」【見解】
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【専門家の目|栗原勇蔵】鈴木彩艶にとっては「1試合1試合の積み重ねが大事」
森保一監督率いる日本代表は、9月5日に行われた北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選初戦で中国に7-0で大勝した。3月シリーズ以来の代表復帰となったGK鈴木彩艶は無失点に抑えたが、被シュート数は1本、被枠内シュートは0本とあって、元日本代表DF栗原勇蔵氏は、「仕事はなかった」と振り返っている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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森保ジャパンは前半12分、MF久保建英のコーナーキック(CK)を完全フリーになったMF遠藤航がヘディングで叩き込んで先制すると、同アディショナルタイムにはMF堂安律のクロスに飛び込んだMF三笘薫がヘディングで合わせ、追加点を奪って2-0で折り返した。
後半7分にはMF南野拓実が個人技の突破からペナルティーエリア左に侵入してゴールを挙げると、同13分にもグラウンダーのシュートをゴール右に流し込んで連続得点。後半32分にはMF伊東純也、同42分にはFW前田大然の途中出場組がネットを揺らし、同アディショナルタイムには久保が強烈なシュートでトドメを差した。
終わってみれば、ボール支配率72.7%対27.3%、シュート数15本対1本で7-0と圧勝。同日に行われたW杯アジア最終予選で韓国がパレスチナに0-0、オーストラリアがバーレーンに0-1で敗れたこともあり、日本代表OB栗原氏は「初戦で取りこぼしているチームもあるなかで、文句のつけようがないくらいの快勝。100点に近い」と評価する。
「中国はブロックを作って最初から引いて守り、なるべく0点の時間を長くしようという意図が見られました。(前半12分に)セットプレーで点が取れていなかったら、0-0のまま推移していたかもしれない。引かれた相手を崩すのは大変なので、遠藤のコーナーキック弾は大きかったし、サイドからの三笘のヘディングも価値があった。高さは日本のストロング(ポイント)ではないなかで、ヘディングで2点取ったのも好材料だと思います」
逆に、中国は試合を通じてシュート1本、枠内シュートは0本で、守備陣が危ないシーンを迎えることはなかった。この試合でゴールマウスを守ったのは、今年1~2月に開催されたアジアカップで全5試合に出場して計8失点を喫した鈴木彩艶。今季移籍したイタリア1部パルマで正GKを務めているとはいえ、自身初となるW杯アジア最終予選の緊張感の中でどんなパフォーマンスができるのか、見極めたかったところだ。それでも、栗原氏は不安以上に、こうした1試合1試合が鈴木にとっては大切だと説く。
「今日はシュートを打たれた記憶すらないくらい、ピンチというピンチはなかった。目に見える相手との1対1を含めて、ハラハラするような場面は皆無。DF陣もGKも仕事はなかった。しっかりディフェンスラインの上げ下げをして、マークの受け渡しをしていて、前の選手の切り替えを早くさせたり、鈴木も貢献しているはず。アジアカップの苦い思い出もあるなかで、仕切り直しても森保監督に使ってもらえる信頼度がある。ゼロに抑えるのはいいこと。パルマでACミラン相手に試合をしたり、レベルの高いところでやっているし、1試合1試合を積み重ねていくのが大事な時期。どんどん成長してほしい」
栗原氏は、今回代表メンバーに選出されなかったパリ五輪組のGK小久保玲央ブライアンを含め、GK陣のさらなる台頭に期待を寄せていた。
(FOOTBALL ZONE編集部)
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栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。DF松田直樹、DF中澤佑二らの下でセンターバックとしての能力を磨き、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退後、横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動。