森保監督の発言に…中国記者が見解、日中には「まだ避けられない溝がある」
中国のザン・チェン氏は日本と中国には「避けられない溝がある」と力の差に言及
森保一監督率いる日本代表が8月29日、2026年の北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終(3次)予選に臨むメンバー27人を発表した。
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森保監督は記者会見で初戦の中国代表について聞かれ、こう答えている。
「非常に警戒しなければいけない相手だと思います。(ブランコ・)イバンコビッチ監督は、百戦錬磨で、我々に対しても、前回のW杯アジア最終予選の時にオマーン代表としてこの初戦を戦っています(日本はオマーンに0-1敗戦)。かなり分析をされたという感覚がまだまだ残っていますし、今回も我々のことを徹底的に分析して戦いに挑んでこられると思いますので、我々が戦術面でもメンタル面でも上回っていけるように準備しなければいけないと思っています」
「中国に関しては非常にポテンシャルの高い選手が多いと思います。イバンコビッチ監督の下、戦術的にも非常に能力の高い選手たちがチームとして機能性を持って非常に力をつけてきているという印象を持っています」
この会見内容に、中国初のUEFA(欧州サッカー連盟)とAFC(アジアサッカー連盟)の公式登録フリーランス・ジャーナリストで、現在は北京国安サッカークラブのメディアマネージャーを務める、ザック氏ことザン・チェン氏は、冷静な分析を行った。
「個人的な感想ですが、森保監督はチームとイバン監督を高く評価していました。しかし、今の両チームの間には、まだ避けられない溝があると思います。森保監督は、選手や国民の警戒心を煽るような、ストレスのある戦い方をしたいのだと思うのです。森保監督が試合前に、この試合の難易度が高いと言って選手を鼓舞するのはいい準備の仕方だと思います」
中国のエースFWウー・レイは「過去最高のパフォーマンス」を披露
しかし、日本は2018年ロシア大会、2022年カタール大会とともにアジア最終予選の初戦で敗戦を喫している。あながち危機感を煽っているということだけでもないだろう。実際、ザック氏も激戦にはなるだろうと予想している。
「毎回、開幕戦は各チームにとって厳しい試合になります。チーム、選手、そして監督自身へのシグナルであり、風見鶏でもあるからです」
そう言いながらも自国代表への不安も口にした。
「今回の中国代表は、特にディフェンス陣に経験豊富な選手が少ない選考になっています。チームは今年1月のアジアカップでいいディフェンスマネジメントを見せられませんでした」
もちろん自信もある。
「我がチームにとって、ストライカーの呉磊(ウー・レイ/上海海港足蹴倶楽部)が今、国内リーグで過去最高のパフォーマンスを見せているのはいい傾向です。日本戦でいい結果を出すために信念を持って努力するためにも、彼に熱いプレーを見せてもらう必要があります」
では、中国代表は日本の狙い目をどこだと思っているのだろうか。
「この試合のポイントは、伊東純也(スタッド・ランス/フランス)でしょう。彼はここ数年、森保監督にとって常にエースとしてプレーしてきた。2022年のカタールW杯アジア最終予選、2022年1月27日に対戦した時にもゴールを決められたし、1対1のデュエルを何度も成功させ、オフェンスに大きく貢献しています。その彼の背後を突けるかどうかでしょう」
では、スコア予想はどうか。そう聞くと「実は、得点予想はほとんどしていません。なぜなら、イバンのチームはまだビルドアップの段階にあるからです」とはぐらかされてしまった。
だが、彼は家族まで伴ってこの試合のために来日するという。それは自信の表れだとも受け取れた。
(森雅史 / Masafumi Mori)
森 雅史
もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。