「史上最強のSBになる」 サプライズ招集の192cm逸材…日本代表OBが見抜いていた“才能の塊”【インタビュー】

町田・望月ヘンリー海輝【写真:(C) FCMZ】
町田・望月ヘンリー海輝【写真:(C) FCMZ】

太田宏介氏は古巣・町田の望月ヘンリー海輝の代表入りを予想していた

 森保一監督率いる日本代表は9月に行われる2026年の北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選2試合に臨む招集メンバーを8月29日に発表した。27人のメンバーの中でサプライズだったのが、22歳のDF望月ヘンリー海輝(FC町田ゼルビア)だ。身長192センチを誇る大型サイドバックでそのポテンシャルの高さは十分。町田OBで元日本代表DFの太田宏介氏が代表発表前から「史上最強のサイドバックになる」と注目するルーキーだった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也/全4回の2回目)

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 サイドバックで192センチの長身。2024年に国士舘大学から町田入りした望月は、ここまでJ1リーグ戦17試合に出場している。A代表に初めて選出した森保監督は「(黒田剛)監督、チームの信頼を得てレギュラーとして存在感を発揮していることを評価させてもらった。非常にフィジカル能力が高く、サイズ的にも魅力がある」と選出理由を説明していた。

 このメンバー発表よりも前に、町田でアンバサダーを務める太田氏は望月を絶賛していた。「まだ細いですし、荒削りな部分もあるんですけど、彼の持っているポテンシャルはものすごい。これまで見てきた若手の中でも、ちょっと群を抜いていますね」とまで言い張るほどに能力の高さを感じていた。

「僕はもう近い将来、海外(移籍)だったり、(A)代表行きも可能なレベルだと思っています。半年後、1年後にはもうそうなっているんじゃないかな」

 まさに太田氏の予言通りとなった。プロデビューからわずか半年足らずでA代表へ。代表で同じくサイドバックとして活躍した太田氏が望月を推す理由は「そもそもの身体能力がものすごく高い」ことを前提に「人の話をちゃんと聞ける」「言われたことをまず反発せずに、吸収して、ピッチ上で表現できる」ところだと語る。それは今季のプレーにも表れていた。

「開幕戦のガンバ大阪戦(1-1)で途中出場して、宇佐美(貴史)にもうズタズタにやられていました。そこでシュンとなってしまうかと思いましたが、悔しさをバネに練習に励んで、今はもうポジションをしっかり確保していますよね」

 もちろん改善すべき点はある。太田氏は「線が細い部分はありますが、身体のフィジカル部分は試合を通してできていくものなので心配していません。その分、クロスの質のようなプレーの精度はまだまだです」と指摘する。それでも「現状に満足しない向上心のある性格を持った選手なので伸び代しかないです。クラブハウスで会ったときにはクロスについてたくさん語り合いましたよ」と、望月の持つ“強さ”を絶賛している。

「僕はコーチの立場ではないから、ピッチに立って一緒に練習やるみたいなことはできないですけど、あれだけのポテンシャル、身体能力と、そこにいろんな武器となるキックの質など、そういったところが身についてきたら、日本代表史上最強のサイドバックになるでしょうね」

 太田氏も太鼓判を押した大型新人の望月。日本代表は9月5日に中国(埼玉)と、11日にバーレーン(リファー)と対戦する。初のA代表でどこまで実力を発揮できるか。ベテランDF長友佑都も招集されたなか、大先輩から学べることも多いはずだ。

[プロフィール]
太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。

(FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也 / Kenya Kaneko)

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