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岡崎が語った王者レスター迷走の理由 「楽して勝とうとしている」の言葉に込めた真意とは
“ティンカーマン”に逆戻りした姿
ところがラニエリは、2016年のFIFA年間最優秀監督賞も受賞し、自分を文字どおり世界最高の位置に押し上げたサッカーをあっさり捨ててしまった。
それはやはり、「自分が作り上げたものではない」との思いがあったからではないか。
リバプール戦では、解任されたイタリア人監督の年齢と重なる65分にスタンドから“ラニエリ・コール”が起こった。しかし、続くハル戦で先制点を許しながらも3点を奪い返し、リバプール戦と同じ3-1のスコアで逆転勝利を飾ると、観客はかつての強さを取り戻させたシェイクスピア暫定監督に感謝し、試合中にラニエリの名前を連呼するサポーターはいなくなっていた。
しかしそれも、ムードメーカーとして激しいスタイルをシーズンを通して貫かせて栄冠をつかんだ老将が、就任2年目となる今季、チェルシー監督時代に「ティンカーマン」と呼ばれ、それほどの故障ではないのに手をこまねいてさらに状況を悪くさせる修理工にたとえられた“迷走監督”に逆戻りした、ラニエリ本人の責任だろう。
カンテを失ったことを言い訳にして、戦術を変え、先発メンバーを猫の目のように入れ替え、フォーメーションもコロコロと変えた。それで昨季はたった3敗だったレスターを、25節の時点で14敗もさせてしまったのである。
もちろん、マンチェスター・ユナイテッドのジョゼ・モウリーニョ監督が「君の作った歴史は誰にも消し去ることはできない」と語ったように、レスターを創設以来初の優勝に導いた功績が忘れ去られることはない。しかし同時に、その奇跡の優勝からわずか9カ月で永久監督かと思われたラニエリがクラブを去ったのも、その内情を見れば、彼自身が招いた当然の帰結でもあった。
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【了】
森 昌利●文 text by Masatoshi Mori
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images