岡崎が語った王者レスター迷走の理由 「楽して勝とうとしている」の言葉に込めた真意とは

プレスサッカーを捨てて招いた崩壊

 ところが今季のイタリア人指揮官は、カウンターを捨ててポゼッションを高めたことで、スペースがなくなった相手の危険なエリアで創造性のあるプレーができる選手、もしくは一人でドリブルでボールを運び局面を打開できる選手を重用した。だから昨季後半は不動の先発だった岡崎が、ベンチに座ってキックオフの笛を聞くことが増えたのである。

 しかし、そうしたスタイルにチームの戦い方を変えても、結局マフレズやグレイはメッシやクリスティアーノ・ロナウドではないし、スリマニやムサがルイス・スアレスやエデン・アザールのように驚くべき個人技でゴールを奪えるわけではない。それでなくても、プレミアの強いディフェンスを一人で突破できる選手など、なかなか現れない。個人技ももちろん大切だが、一流選手が連携し合ってこそイングランドでは初めてゴールが割れるのだ。

 個の能力で相手を上回れず、チームとして連動性にも欠けていたレスターは、結局低い位置からロングボールを前線に蹴るような、中盤を省略するサッカーになった。昨季の躍進を支えた激しいプレスサッカーとショートカウンターを捨て、ボールを保持して主導権を握るポゼッションスタイルを目指すも、思い描いたサッカーをピッチ上で表現することはできなかった。

 岡崎のコメントからしても、ラニエリが昨季の十八番だった極限のプレスサッカーを捨てたことが、今季の不振を招いた要因だったことが読み取れる。本来だったら、カンテ一人が抜けた穴を埋める努力をすればよかったのに、全てを変えてチームが崩壊した。

 ただし、ラニエリがそうした決断を下したのは、指揮官に「これは自分が築き上げたサッカーではない」との思いがあったからではないだろうか。優勝はしたが、前監督の遺産で勝った。そんな思いがどこかにあって、レスターの勝利の方程式の根元となっていたプレスを捨てたのではないだろうか。

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