岡崎が語った王者レスター迷走の理由 「楽して勝とうとしている」の言葉に込めた真意とは

「去年優勝したことで、泥臭く戦えない」

 ラニエリが目指した新しいサッカーは、なぜ機能しなかったのか。イタリア人老将が解任される間近の2月12日、リーグ第25節スウォンジー戦に0-2で完敗した直後に岡崎が語った言葉に、そのヒントがある。

「実際、僕らも(スウォンジーと同様に)残留争いをしているのだけれど、去年優勝している。だから、泥臭く戦えない。監督も泥臭いというより、どちらかと言えば、楽して勝とうとしているように見える。

 僕は、サッカーはバランスが大事だと思うんです。確かに自分にできないプレーが、(デマライ・)グレイが入ればできる。マフレズも、トップ下に入ればパスを配球できると思う。だから、自分はチョイスされにくい。そういう監督の気持ちは、めちゃ分かるんです。けれどもそれでは、チームとして中盤がなくなってしまう」

 岡崎が指摘するポイントとしては、まず昨季優勝したことでチームが泥臭いプレー、つまり高い位置から猛然とプレスをかけることを止めてしまい、挑戦者としての姿勢が消えてしまったことがある。だからボールを奪い返す位置は必然的に低くなり、チームが昨季武器としたショートカウンターは鳴りを潜めてしまった。

 こういうスタイル――つまりラニエリは一度ボールを奪ったら、なるべくポゼッションを高めてボールを保持し、ゴールは大金をかけて補強したFWに決めてもらう腹づもりだったと思う。だがそうなると、昨季カンテとともにチームのセンターラインで、まさしく滅私奉公のプレスをかけ、ボールを追い回すと同時にカウンターの起点になっていた岡崎の出番はなくなる。

 冒頭で紹介したクロップのぼやきのような敗因コメントで、岡崎の名前だけがひょっこり現われるのは、我らが日本代表FWがカンテと同様、昨季の優勝に大きく貢献したピースだったことの象徴だろう。厄介な奴が戻ってきてウチの攻撃の起点が潰され、ヴァーディが生き返ってしまった――ドイツ人闘将が「Okazaki’s back」とつぶやいたのは、そんな気持ちの表れだったに違いない。

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