18歳でプロ内定も「実感が湧かなかった」 決してエリート街道ではない…サニブラウン弟の気概

来季福岡トップチームに昇格のサニブラウン・アブデル・ハナン【写真:中倉一志】
来季福岡トップチームに昇格のサニブラウン・アブデル・ハナン【写真:中倉一志】

8月26日にサニブラウン弟のトップチーム昇格が発表

 アビスパ福岡は8月26日、福岡市東区の雁の巣レクリェーションセンター内のクラブハウスで記者会見を行い、アビスパ福岡U-18に所属するサニブラウン・アブデル・ハナンと、前田一翔(いちか)が、来季トップチームに昇格することを発表した。

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 ハナンは、陸上短距離界の日本のエースとして、パリオリンピック陸上競技で男子100メートル、男子400メートルリレーに出場したほか、多くの世界的な大会で活躍するサニブラウン・アブデル・ハキーム(25)の弟。江東FRIENDLY FC(東京)、ソルティーロ千葉FC U-15(千葉)を経てアビスパ福岡U-18に加入。高円宮杯 JFAU-18 サッカープリンスリーグ九州では3得点(第10節終了時)、先に行われた第48回日本クラブユース選手権(U-18)大会では2得点を記録して6年ぶりのベスト4進出に貢献した。

 昇格が伝えられたのは、クラブユース選手権の全国大会が始まる4日前。「個人面談のような形でさらっと言われたので最初は実感が湧かなかったが、嬉しいという気持ちはもちろん、頑張ってきて良かったと感じた」と話す。兄からの激励は「がんばれ」という短い言葉だったが「多分、向こうもプロとして長いので『自覚持ってやれよ』みたいなことだったと思う」と身を引き締めた。

 改めて振り返れば決してエリート街道を歩いてきたわけではなかった。中学校卒業後に福岡へ移住して新しい環境でチャレンジすることを選んだが、結果を出すことができずに試合に出られない日々が続いた。

「技術的に足りずに試合を経験することができず、さらに周りと試合勘というところで差が付いてしまうという状況だった。けれど、練習や練習試合でどれだけ動けるかということにチャレンジしていた」

 チャンスがやってきたのは高校3年生になってから。FWの選手に怪我人が出たことで出番が回ってきた。そしてこれが転機になった。記者会見ではプロ選手にとって必要なことは何かと問われた時に「負けたときの悔しい想いを次につなげられるのがトッププロなのかと思う」と話したが、それは彼がこれまでに日々、実践してきたこと。それが急成長につながったことは間違いないだろう。そして、この急成長もトップチーム昇格を決めた理由の1つ。クラブ強化部長の柳田伸明氏は「磨けば光るダイヤモンドの原石のような選手」と最大の賛辞を送っている。

 そしてこれから始まるプロ生活について、次のように意気込みを語る。

「これから甘えの効かない厳しい世界に挑戦していくことになる。まだまだ足らないところが多いので、日々の練習を大切にし、努力を重ねて、ウェリントン選手のように、チームのために身体を張れる選手になって勝利に貢献していきたいと思う」

 新たな挑戦で何を見せてくれるのか。期待は高まるばかりだ。

(中倉一志/Hitoshi Nakakura)



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