「地獄の日々」から328日ぶりの復活 名門高→生え抜き25歳が過酷なリハビリ激白…監督言葉に「泣いた」

約11か月ぶりのピッチに立った福田湧矢(写真は昨季のもの)【写真:Getty Images】
約11か月ぶりのピッチに立った福田湧矢(写真は昨季のもの)【写真:Getty Images】

G大阪MF福田湧矢が約11か月ぶりのピッチに立った

 ガンバ大阪は8月24日、J1リーグ第28節でアビスパ福岡と対戦して2-2で引き分けた。この一戦でMF福田湧矢が約11か月ぶりに復帰。昨年10月1日のJ1リーグ第29節FC東京戦を最後に遠ざかっていたピッチに戻って来た。長い、長い道のりでは「練習に行きたくない日もあった」というが、家族やダニエル・ポヤトス監督からの言葉を胸に這い上がった。

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 3万3000人超えを記録した超満員のパナソニック吹田スタジアムで、「背番号14福田湧矢」の名がコールされた。2-2の後半38分。MF山下諒也に代わって、福田がピッチに立った。その背中に割れんばかりの大歓声が降り注ぐ。

 練習でも未経験だったという右サイドで出場。“ぶっつけ本番”も果敢にドリブルで運んだり、相手の裏を突くプレーを披露した。アディショナルタイムを合わせて約15分。ここまで本当に、本当に長かった。

 昨年10月に左足首の状況が悪化。今年1月には左腓骨筋腱障害で手術を受けた。2022年も左肩関節脱臼で手術を受けて離脱を強いられた経験があったが、今回の長いリハビリはその“経験”が生きなかった。

「前回は肩やったから、足を動かせたのでボールも触れた。でも今回はほんまにゼロからやったんで、戻ってまた怪我して戻ってまた怪我して……。それをずっと繰り返してやっと今日を迎えられた。本当に苦しい思いをしましたし、その分嬉しさがあった」

 真っ暗なトンネルだった。思いどおりに身体が動かない。性格的にあまり人に相談もできない。周囲を明るくさせる天真爛漫な福田を“黒い”気持ちが支配していた。

「繰り返しだったので、地獄のような日々だった。リハビリなんか行きたくないみたいな思いも。本当に練習を休もうかな、と追い込まれた時期があった。朝起きたら『練習に行きたくない、休みたい』と思ってしまって。身体も動かない、やる気も出ない」

 支えてくれたのは家族。湘南ベルマーレでプレーする弟・翔生の活躍は嬉しかった。そのなかで、孤独に戦う福田を指揮官も理解していた。

「1人で解決したい」そう考えていた時期、突然ポヤトス監督に呼び出された。そして声を掛けられた。

「湧矢は1人で抱え込むタイプというのは知っている。俺も分かっているよ」

 その言葉を聞いて、涙があふれ出た。「もうドンピシャすぎて……。ウワーっと泣いてしまった。しんどくて。そういう時に救われた」。指揮官の思いを受け取り、“どん底”からもう一度這い上がろうと立ち上がった。パナスタのピッチでもう1度プレーを――。気持ちを強く持ってリハビリに打ち込んだ。

 そして、迎えた福岡戦。328日ぶりの声援を受け、実感した。「ああ、僕って本当にガンバが大好きなんだ」。ここからまたスタート。東福岡高から入団して、7年。G大阪一筋の“生え抜き”25歳のサッカー人生はまだまだ先が長い。涙を強さに変えて。躍動する福田の姿が楽しみだ。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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