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モイーズ解任の知られざる真相――“ファーガソン院政”を崩したマンチェスター・U経営陣のクーデター
後任は経営陣が扱いやすい人物か
来季の監督候補にはオランダ代表のルイ・ファン・ハール監督(62)、ドルトムントのユルゲン・クロップ監督(46)、Aマドリードのディエゴ・シメオネ監督(43)、パリSGのローラン・ブラン監督(48)、そしてRマドリードのカルロ・アンチェロッティ監督(54)等の名前が挙っている。
日本では、我らが日本代表NO.10香川真司との恩師関係から、クロップ監督の就任を願う報道も多い。
しかし、もしも今回のモイーズ解任が経営陣による、ファーガソン前監督に集まっていた全権の分散という権力闘争の結果によるものだったとしたら、クロップの招聘はあるのだろうか?
少なくとも今回のモイーズ解任で、現在の経営陣は監督の人事権を握り、クラブ内での発言力を高めることに成功したはずだ。
となれば、クロップのような全権型の監督を招聘するだろうか。
もちろん、今のユナイテッドに必要なのは、クロップのような若くて才能ある監督に腰を据えさせて、次時代のチームを作らせることだ。しかし、今回のモイーズ解任で、経営陣が重視するクラブの利益やマーケティングの論理の重要性も増したに違いない。
それなら、全権を求める監督より、経営陣が扱いやすい監督が選ばれる可能性が大きいのではないだろうか。
英メディアは今回のモイーズ解任を、マンチェスター・Uの大きな変換期としてとらえているが、その変換は、ファーガソン監督が己の信念に基づき常勝チームを築いた、純粋にサッカーの結果を追い求めた現場優先の時代から、株価やスポンサー収益、グローバル・マーケティングといった贅肉が重くのしかかる、典型的なビッグクラブ経営の時代に移り変わったことなのかも知れない。
【了】
森昌利●文 text by Masatoshi Mori