「もっとやりたい」途中交代に“漏れた本音” 起用法へ敬意も…元欧州組、64分プレー後の言葉
スイスのセルヴェットFCから横浜FMへ復帰したFW西村拓真が川崎戦で躍動
流れるような連係からのPK奪取。そしておよそ25メートルの距離を沈めた左足の鮮やかなミドルシュート。横浜F・マリノスのFW西村拓真の迷いのないプレーがチームに勝利を呼び込んだ。
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8月17日、横浜FMはJ1第27節で川崎フロンターレと敵地で対戦。神奈川ダービーを3-1で制し、これでリーグ戦はここ5試合で4勝目。ジョン・ハッチンソン暫定監督の下、ハリー・キューウェル前監督解任の悪い流れから立ち直りつつある。
川崎との大一番で輝きを放ったのは、6月にスイスのセルヴェットFCから復帰した西村だった。0-0で迎えた後半10分には相手エリア内でMF橘田健人に倒されてPKを獲得。これをFWアンデルソン・ロペスが決めて先制に成功した。
さらにそのわずか2分後、西村はロペスとのパス交換から川崎陣内でボールを持つと、今度はエリアの外から思い切りよく左足を一閃。強烈なシュートはゴール右隅のサイドネットに突き刺さった。これが公式戦デビューとなった川崎のGK早坂勇希にはノーチャンスの“ゴラッソ”だった。
西村は試合後「インステップは得意なので」とひょうひょうと会心の一撃を振り返る。「(パスもシュートも)両方選んでましたけど、まずはシュートというのを一番に考えられたのが良かったのかなと思います」。迷いなく撃ち抜いた一撃は復帰後初ゴールとなった。
周囲とのコンビネーションは試合を重ねるごとに高まっている手応えがある。PK奪取のシーンでは左サイドバックのDF永戸勝也のパスを起点に、ロペスのワンタッチパスを受けて相手エリア内へ侵入。仲間を信じて走り込んだ結果が得点へとつながった。
「1点目のPKをもらったシーンもそうですけど、少しずつああいう連係が復帰してから出てきている。毎試合良くなっていくと思いますし、そのなかでああやって結果を残せて良かったです。勝くん(永戸)とロペスと同じ絵を描けていたので、その3人の関係っていうのが良かったですし、ああいうシーンがもっと増えてくればチャンスが生まれてくる。個人の力ではできない時もあるので、ああやってコンビネーションが生まれて、得点のシーンができたっていうのはポジティブなことだと思います」
チームにポジティブな風を吹き込んでいる西村。この日は後半20分を前に交代を告げられ64分間のプレーに。「もちろんエナジーは余裕で残っていたし、もっとやりたいっていうのはあります」とフル出場への意欲を燃やしつつ、「だけど、それは監督が決めることですし、僕はリスペクトしています。しっかりもっと監督の信頼を得られるようにやっていければなと思います」とさらなるアピールを誓っていた。
周囲を生かす技術を備えつつ、同時に高い得点感覚とシュート技術を武器に自らもゴール前で生きることができる万能アタッカーの西村。欧州で経験を積んでマリノスへ帰ってきた27歳は、今季苦しむチームをさらなる高みへ導くことができるだろうか。
(石川 遼 / Ryo Ishikawa)