日本代表が「得点、無失点デビュー」 練習わずか3日でなぜ…“即フィット”の舞台裏
磐田戦で町田デビュー、日本代表DF中山雄太が攻守に活躍
J1首位のFC町田ゼルビアは8月17日、リーグ第27節でジュビロ磐田と対戦し、4-0で快勝。4試合ぶりの勝利の立役者となったのは、加入したばかりの日本代表DF中山雄太だった。開始早々に先制点をもたらしただけでなく、手堅い守備や正確なフィードで存在感を発揮するなど、攻守で貢献。頼もしい新戦力の加入でJ1初昇格、初優勝の偉業へ一歩前進した。
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見せ場はいきなり訪れた。今月14日に町田加入が発表されたばかりの中山はスタメンに名を連ねると前半4分、DF杉岡大暉からのコーナーキックを頭で合わせ、電光石火の先制ゴールに。「前日があんまり良くなかったんで。ただ当てることだけを意識したうえで良いコースに行った。前日練習が良くなくて良かった(笑)」
今年3月、前所属のハダースフィールドで左膝靱帯を損傷し戦列を離れた中山にとって、およそ5か月ぶりの実戦。しかも町田に合流後、3日しか練習ができなかった。「毎日毎日、感覚だったり試合勘を取り戻すような意識でやっていたので今日の試合もあんま良くなかった」と、自己評価は厳しかった。
得点以外でも随所で持ち味は発揮された。その1つが前半アディショナルタイム2分の3点目につながった場面だ。相手GKから自陣に放り込まれたロングボールへの空中戦で磐田FWジャーメイン良との競り合いに勝つと、味方がいち早く拾い、FW藤本一輝の得点につながる。身体能力の高さがきらりと光った。
期待どおりの働きぶりに、黒田剛監督は目を細めて言う。合流間もない中山の出来に当初「半信半疑な部分もあった」と本音を明かしつつも「彼のキャリアとか日本代表としてのプライドを今日のゲームで本当にしっかりと証明してくれたなと思いますし、今日の1試合を見たら、チーム全員のリスペクト、信頼を獲得したと思います」と手放しで褒め称えた。
さらに、練習期間が限られたにもかかわらず、新参者という雰囲気を一切感じさせず、ほかの味方と遜色なくプレーしていた理由についてもこう見解を述べる。
「今までのビデオをしっかりと見せ切ったということ。そして、守備に関するコンセプトをかなり叩き込んだ。我々がオフの時もちょっと出てきて、彼に対してレクチャーをかなり長い時間かけてやった。だから、皆がトレーニングを再開する時には、もうかなり町田のサッカーが浸透してる状態、理解してる状態で合流させた。
あとは、彼のためにわりと実践的な、ゲーム的なトレーニングを多くして、チームの協調というか、みんなの輪というものをしっかりと順守させたなかでトレーニングを積み重ねてこれた。本人も知ってる選手が何人もいるので、そんなに弊害があるわけではなくて、順応してできたということ。それがすごく大きな成果を生んだんじゃないか」
6年ぶりとなったJリーグ復帰戦で、周囲を唸らせた27歳は「得点、無失点デビューっていうところではすごく今日の試合は出来すぎかなって思います」と、町田での上々デビューに笑みをこぼした。
2019年1月に自身初となる欧州行きを果たし、オランダ、イングランドでおよそ5年半を過ごした。再び舞い降りたJのピッチで納得のいかない出来ながらもさすがと思わせるプレーを連発した中山を擁する町田は今後、さらに手強くなりそうだ。