中村俊輔コーチ、乱闘騒動で怒り露わのワケ 元同僚が分析「熱くなる時も」…内に秘めた“素顔”【見解】

横浜FCと長崎の一戦で乱闘騒動が発生【写真:徳原隆元】
横浜FCと長崎の一戦で乱闘騒動が発生【写真:徳原隆元】

【専門家の目|栗原勇蔵】中村コーチが「自分を完全にコントロールできなくなるのは見たことない」

 横浜FCは、8月10日にニッパツ三ツ沢球技場で行われたJ2リーグ第26節V・ファーレン長崎戦で、0-0のドローに終わった。試合終盤には両チームの選手・スタッフが入り乱れての乱闘騒ぎになったなか、横浜FCの中村俊輔コーチが熱く抗議する姿にスポットライトが当てられたが、かつての同僚である元日本代表DF栗原勇蔵氏は、「俊さんが自分を完全にコントロールできなくなるのは見たことない」と、現役時代に天才レフティーとして鳴らした男の人柄に触れている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 ホームの首位・横浜FCと3位・長崎の直接対決は、0-0のまま試合が推移。迎えた後半43分、相手の攻撃をしのいだ長崎が自陣でボールを拾って反撃に転じたプレーをきっかけに今回の騒動は起こった。

 長崎のブラジル人MFマルコス・ギリェルメがドリブルしようとしたところを横浜FCのMF井上潮音が足でカットし、ボールはタッチラインを割る。これを、後半26分に途中交代してテクニカルエリア付近にいた横浜FCのFW髙橋利樹が拾い、ボールをすぐに渡さない遅延行為を見せたことにより、マルコス・ギリェルメがヒートアップ。こぼれたボールを持っていた井上の背後から奪い取り、両チームの選手が入り乱れる。

 井上はマルコス・ギリェルメに詰め寄り、睨み合う。そこで、横浜FCのFW櫻川ソロモンがマルコス・ギリェルメの胸を小突いたことで、スタッフも巻き込んだ乱闘騒動に発展。J2にはビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)がなく、上原直人主審は副審、第4の審判員と協議し、髙橋には「反スポーツ的行為」でイエローカードが提示され、長崎の齋藤直幸コーチは一発レッドカードで退席となった。

 退場となった長崎の齋藤コーチは、選手たちの掴み合いの中を走ってきて井上の胸を小突く映像が拡散されており、横浜FCの中村コーチは自チームの選手を守るかのように齋藤コーチを引き剥がし、鬼の形相を見せていた。普段は多くを語らない職人肌の中村コーチだけに、この姿は大きな反響を呼んだ。

 2002年、10~16年に横浜F・マリノスで一緒にプレーした日本代表OB栗原氏は、中村コーチについて、「普段は冷静で取り乱すことはないイメージだと思います」と語りつつ、「選手時代に熱くなる時もあった」と振り返る。

「以前、相手がボールを取るフリをして、スルーする露骨な時間稼ぎをした時に、怒りを露わにしたのは見ました。基本的には冷静で、自分を完全にコントロールできなくなるのは見たことないですけど、やっぱり人間だから熱くなることはありますよね。やる時にはやる一番怖いタイプかもしれません(苦笑)」

 栗原氏は、「人を傷つけることはもちろんダメ」と断ったうえで、「流れの中でああいうことはあり得るし、真剣勝負だからこそ起こる」として、中村コーチの指導者という立場だからこその行動だったのではないかと語る。

「コーチになって、選手と一緒に戦っているし、仲間を守ろうという思いが働いたんだと思います。仲間がやられている時は守らないといけない。示しを見せないといけないこともあります。何も動かない人よりも信頼度は増すし、選手からしたら戦っている、守ってくれていると感じる。同じ温度感で戦ってくれているな、と。普段温厚に見える人が動くからこそ、選手の気持ちも熱くなる。行動に対するさまざまな反応は、その人のそれまでの人間性によっても変わる。それを含めてスポーツだし、面白い。僕は、俊さんが真剣に動いたからこその出来事だと思います」

 栗原氏は、元チームメイトの目線から中村コーチの内に秘めた熱い闘志を分析していた。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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