パリ五輪で活躍のスペイン新星は「誰もが認めるスター」 懸念される“負の連鎖”は?
フェルミン・ロペスはオーバーワークにならないか
スペイン1部FCバルセロナのスペイン代表MFフェルミン・ロペスはパリ五輪男子サッカーで6得点1アシストを記録し、同国32年ぶりの金メダル獲得に貢献した。EURO(欧州選手権)との二冠も達成した21歳にはバルセロナでのさらなる飛躍が期待されるが、同時にある不安要素も浮かび上がっている。
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昨季バルセロナで公式戦42試合に出場して11得点を決めるなどシャビ前監督の下で活躍したロペス。6月から7月にかけて行われたEURO2024のスペイン代表に選出され、出場機会はベンチから登場したアルバニア戦の1試合のみだったが、優勝メンバーの一員となった。
その後、パリ五輪に出場するU-23スペイン代表に合流。サンティ・デニア監督率いるチームでは得点源として活躍し、金メダル獲得に貢献した。決勝トーナメント1回戦で当たった日本戦では左右両足のミドルシュートで2得点を決めて大岩ジャパンのメダルの夢を打ち砕き、日本のサッカーファンにも強烈な印象を残した。
スペインのデジタル新聞「Okdiario」は「フェルミン・ロペスはオリンピックで誰もが認めるスターになった」とその活躍を絶賛。新シーズンはバルセロナでさらなる飛躍に期待が懸かるが、その一方で「フェルミンがペドリのようなケースになってしまうのではないかと懸念されている」と不安要素が指摘されていた。
「ペドリのようなケース」というのは、オーバーワークが招く負の連鎖だ。ペドリは2020-21シーズンにバルセロナのレギュラーとして奮闘し、シーズン後にはEUROと東京五輪に連続出場。フル稼働のペドリはこの時、年間73試合でプレーしたとされる。
しかし、その代償は大きく、ペドリは翌21-22シーズンに負傷を繰り返し、ラ・リーガでの出場が12試合にとどまった。続く22-23、23-24シーズンもハムストリングの負傷に悩まされ続けるなど身体へのダメージが尾を引いている。また、今夏のEUROでは準々決勝のドイツ戦で左膝を負傷し、チームから途中離脱していた。
ロペスはペドリの前例を知りながらも「この2つの選手権(EUROと五輪)でプレーする準備はできている」と意気込んだうえで両大会へ出場することを選んだ。EUROでのプレー時間は28分間のみだったとはいえ、今後ペドリのような“後遺症”に悩まされる懸念は拭い切れないだろう。
五輪のあとでロペスには1週間の短い休暇が与えられているが、本人は現地時間8月17日に行われるバレンシアとラ・リーガ開幕戦にはチームに戻ると、ほぼ切れ間なく新シーズンに臨む意欲を燃やしている。
移籍情報サイト「Transfermark」による市場価値は1年前の7月時点で30万ユーロ(約4800万円)だったが、今年6月には3000万ユーロ(約48億円)と1年足らずで100倍に。この夏の活躍でその価値はさらに跳ね上がることが予想されるロペスだが、同僚も苦しめられた疲労や怪我との戦いだけは心配だ。
(FOOTBALL ZONE編集部)