一撃必殺の“俊輔FK弾”が磐田に与えたもの スコアに刻まれた1点以上の価値
両チームの戦意と戦術を一変させる力
また今季の大宮で攻撃のキーマンとなっているMF江坂任も、中村の一撃でゲームプランが大きく変わったことをこう認めている。
「1点目は完全に相手が欲しい形での得点でした。早い時間帯に中村俊輔選手のフリーキックで得点すれば精神的に勢いに乗るし、自分たちとしては勢いに乗らせてしまったと感じます。戦術的にも磐田が(先制後に)引いてディフェンスできたのは、勝っていたからこそできることですから」
中村の先制ゴール後、攻勢に出たのは大宮だった。しかし磐田はMFと最終ラインが連動したディフェンスでボールを奪い取り、ゴールに迫る場面を数多く作った。
同10分、中村からの展開を受けた太田はクロスバー直撃のシュートを放ち、同23分には右サイドに流れた中村のクロスにMFアダイウトンがダイレクトで合わせた。その4分後には浮き球のボールを、中村が巧みな左足バックヒールで右サイドに流し、太田のクロスが相手のハンドを誘った。前半は中村が持つ個の能力と磐田の組織が噛み合うシーンが目立った。
中村俊輔が直接FKを叩き込む――。この事実だけでも、両チームの戦意と戦術を一変させる。スコアに刻まれた1点以上の価値があることを証明した90分間だった。
【了】
フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images
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