「そんなにいいコースじゃなかった」のに…なぜ小久保は失点? 代表OBが指摘した“世界との差”【見解】
【専門家の目|栗原勇蔵】スペインは「レンジもスピードも差があった」
大岩剛監督率いるU-23日本代表は、現地時間8月2日に行われたパリ五輪の男子サッカー準々決勝スペイン戦に0-3で敗れ、ベスト8敗退となった。グループリーグでは3試合で無失点だった守備は3失点を喫し、元日本代表DF栗原勇蔵氏は「グループリーグの時の小久保なら止めてくれていた、という期待はあった」と感想を述べている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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東京五輪の準決勝で敗れているスペインへのリベンジを期した一戦は前半11分、相手MFフェルミン・ロペスにゴール正面で前を向かれると強烈な左足ミドル弾を放たれ、GK小久保玲央ブライアンが鋭く反応して腕に当てるも、そのままボールはゴールに吸い込まれた。
今大会初失点でビハインドを背負ったなかで迎えた前半39分、左サイドでDF大畑歩夢がボールを持つとMF藤田譲瑠チマを経由したボールがペナルティーエリア内の細谷へ。相手を背負って受けた細谷は力強く反転して右足ミドルを蹴り込んだ。しかし、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の映像チェックで細谷がわずかにオフサイドポジションにいたとされ、ゴールは取り消し。幻の同点ゴールとなり、追い付けなかった。
後半28分、スペインはコーナーキックをマイナス方向に蹴ると、ペナルティーエリアのすぐ外で胸トラップしたロペスが寄せてくる日本守備陣をすり抜けていくようなボレーシュートを放ち、ドライブ回転の懸かったボールに小久保も合わせ切れず痛恨の失点。さらに、残り5分を切ったところでセットプレーのこぼれ球をFWアベル・ルイスに蹴り込まれた日本は0-3と点差を広げられて試合終了となった。
またしても五輪ではスペインに屈した日本。日本代表OB栗原氏は「かなり差は縮まってきているけど、スペインの成功例を踏まえると、いい流れに持っていく力があるのは間違いない。大事なところで流れが来る」と言及。日本との“差”に関して、小久保の牙城が崩されたことを挙げている。
「小久保は今大会でいいプレーを見せてきた。1点目、2点目とも相手がスペインじゃなかったら防げていたかもしれない。グループリーグの時の小久保なら止めてくれていた、という期待はあったけど、U-23世代でスペインはレンジもスピードも差があった。ロペスのシュートはそんなにいいコースではなかった。もちろん小久保を攻めることはできない。ただ、1点を取れていれば流れは変わっていただろうし、細谷のシュートがポストに当たったり、ツキもなかった」
小久保は試合後、「このチームで最後までいたかった。こんなところで終わってしまって悔しい」と悔しさをにじませたが、次はA代表の守護神を狙う挑戦が始まる。
(FOOTBALL ZONE編集部)