A代表主力にも劣らぬ“フィジカル” 22歳MFのポテンシャルにOB注目「後継者になれる」【見解】
【専門家の目|栗原勇蔵】成長著しい藤田譲瑠チマは「A代表でも遜色ない」
大岩剛監督率いるU-23日本代表は、現地時間7月30日に行われたパリ五輪の男子サッカー・グループリーグ最終戦でイスラエルに1-0で勝利した。途中出場したキャプテンのMF藤田譲瑠チマは決勝点の起点となり、グループD首位通過の立役者の1人となった。元日本代表DF栗原勇蔵氏は「A代表に入っても遜色ない」と高く評価している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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グループリーグ初戦のパラグアイ戦(5-0)、第2戦マリ戦(1-0)とスタメン出場した藤田は、2連勝で決勝トーナメント進出を決めたこともあってイスラエル戦はベンチスタート。後半34分、ピッチに倒れ込んで担架で運び出されたMF川﨑颯太に代わってピッチへ立った。
藤田は後半40分に前方へとロングボールを供給。身体を張って相手のボールを奪い取るなど、守備面でも力を発揮したなか、同アディショナルタイムには右サイドのFW佐藤恵允へ展開すると、佐藤のグラウンダーのクロスにFW細谷真大がダイレクトで合わせて日本が決勝ゴールを奪った。
無失点でのグループリーグ3連勝を達成する原動力となった藤田。日本代表OB栗原氏は、「川﨑の負傷がなければ、出なかったかもしれないし、難しい展開だったなかで、ゴールの起点を作った。パススピードも早く、さすがのプレーでした」と評価する。
22歳の藤田は、2022年7月のE-1選手権でA代表デビューを飾り、2キャップを刻んでいる。それ以降は森保ジャパンに招集されていないが、昨夏にJ1横浜F・マリノスからベルギー1部シント=トロイデンへ移籍し、逞しさを増している。A代表の中盤にはMF遠藤航(リバプール)とMF守田英正(スポルティング)という不動の主力がいるが、栗原氏は「学ばせる意味でもA代表に入れたほうがいいと思います」と語る。
「ボランチには遠藤航という絶対的な中心選手がいますけど、A代表に入っても遜色ない。身体が強くて、一定のスピードもある。技術は抜群というほどでもないですけど、ディフェンシブMFとしてはかなりハイスペック。遠藤や守田にもフィジカルでは負けていないし、次から次へと足を出す守備もできる。遠藤の後継者になれるタイプだと思います」
パリ五輪で一皮剥けた藤田が、今後A代表に定着していくかにも注目が集まる。
(FOOTBALL ZONE編集部)
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。