藤尾翔太は「頼りになる」 日本代表OB、五輪でのマリーシアを評価「結局は結果がすべて」【見解】
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【専門家の目|栗原勇蔵】藤尾翔太がマリ戦で相手のPKシーンで駆け引きを展開
大岩剛監督率いるU-23日本代表は、現地時間7月30日にパリ五輪の男子サッカー・グループリーグ第3戦でイスラエルと対戦する。27日の第2戦マリ戦で1-0と勝利して決勝トーナメント進出を決めたなか、試合終了間際にPKを献上したシーンでは、FW藤尾翔太がPKキッカーの前に立ちはだかってプレッシャーをかけ、その後のミスを誘発する形となった。元日本代表DF栗原勇蔵氏は、このしたたかな判断を評価している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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日本対マリ戦は0-0で迎えた後半37分、FW細谷真大が右サイドを抜け出して中央にクロス。これにファーサイドから途中出場のFW佐藤恵允が合わせ、相手GKが弾いたボールをMF山本理仁が押し込んで、2試合連続ゴールを奪って先制に成功した。
その後、試合終了間際にMF川﨑颯太がビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)でハンドを取られて、PKを献上。しかし、GK小久保玲央ブライアンがマリFWドゥムビアのPKのコースを完全に読み切り、シュートはゴール左外へ外れた。小久保が大仕事をやってのけ、日本は1-0の勝利を掴んだ。
マリのPKのシーンでは、キッカーであるドゥムビアがペナルティースポットへ。藤尾やDF高井幸大、FW細谷真大らが少しでも時間を稼ぐために、立ちはだかり、マリDFシセを交えて駆け引きが行われた。
日本代表OB栗原氏は、「PKの時にリズムを崩させて、相手を動揺させるようなよくある行為。GKで言えば、なかなか下がらないのと同じ。ルールの範囲内で、妨害にはならない」と語る。
藤尾は今季、所属クラブのFC町田ゼルビアの試合で、PKのボールに水をかける行為がフォーカスされたこともあった。栗原氏は「敵として見ているのか、味方として見ているのか、見る視点によって評価が違うからこそ、いろんな意見がある」と前置きしつつ、「結果としては相手がプレッシャーを受けて外すことにつながった。Jリーグでもよくあるシーンで、正直マリーシアと言うまでもないかもしれない」と見解を述べる。
「土を掘り返したりするとどうかとも思いますけど、蹴る前に立つとか程度ならなんの問題もないし、ダメな理由が分からない。もちろん相手を傷つけるプレーはよろしくないが、こういうのも含めてサッカーだから面白い。少しでも勝利の可能性を上げるために選手たちはやっているわけで、普段から相手が嫌がることをやれているからこそ大舞台でもできる。結局は結果がすべて。藤尾のような選手がいるとこういう大会では頼りになる」
どこまでも勝利に貪欲な藤尾は、グループ首位通過を懸けたイスラエル戦でも頼りになりそうだ。
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栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。DF松田直樹、DF中澤佑二らの下でセンターバックとしての能力を磨き、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退後、横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動。