劇的決勝弾の19歳は「すでに規格外」 代表OGも驚愕した決断と判断力「本当びっくり」【見解】

決勝弾を挙げた谷川萌々子(写真中央)【写真:早草紀子】
決勝弾を挙げた谷川萌々子(写真中央)【写真:早草紀子】

【専門家の目|岩清水梓】元なでしこJ岩清水が19歳谷川萌々子のポテンシャル絶賛

 なでしこジャパン(日本女子代表)は現地時間7月28日にパリ五輪の第2戦でブラジル代表と対戦し、2-1で劇的な逆転勝利を飾った。2008年北京五輪と12年ロンドン五輪に出場し、11年の女子ワールドカップ(W杯)優勝メンバーでもある元代表DF岩清水梓は、決勝のロングシュートを決めたMF谷川萌々子について「体格的にもできあがっている。すでに規格外」と話した。(取材・構成=轡田哲朗)

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 驚きのスーパーゴールだった。谷川が獲得したPKで同点に追いついた直後の後半アディショナルタイム、MF清家貴子がドリブルで仕掛けて相手に阻まれたところに谷川が押し上げていくと、相手のパスをインターセプトすると同時にダイレクトで右足ロングシュート。これが前に出ていた相手GKの頭上を抜けてゴールに吸い込まれて逆転ゴールとなり、日本に待望の大会初勝利をもたらした。

 岩清水はこのシュートを「PKで追い付いて『追い付いて良かったな』と思う試合になるところで、あそこから思い切ってシュート。奪ったボールを大事に保持する選手も多いなか、キックの実力があるからこそゴールまでが見えるし、顔が上がる。視野の広さと技術の高さだと思う。本当にびっくりした」と分析。そして「あの場面で顔を上げてGKまで見ようとは普通、思えない。FWを探しがちなところだけど、まさかゴールまでというのは本当に凄い」と、その判断と決断を絶賛した。相手DFやGKとしての目線として「今後、ロングシュートがあるということでスルーパスに飛び出しづらくなる」と、今後の戦いに及ぼす影響についても指摘した。

 弱冠19歳の谷川について、なでしこジャパンのトレーニングキャンプで見たという岩清水は「体格的にできあがっていて19歳のアスリートとしてはすでに規格外」と評する。チームにとっても嬉しい若手の台頭について「短時間であの仕事ができるので、プレー時間が伸びてきたり、スタメンになったりと楽しみしかない。彼女がいることによって長谷川選手が攻撃的な仕事ができるとか、キック力に定評があるなら、サイドの選手への展開力が出るとか、楽しみなことが多い」という。同世代で同じJFAアカデミー出身のDF古賀塔子と2人での代表入りという点でも「お互いに支え合えていると思う。互いの活躍で自分もやるぞと思える相乗効果が出ているのではないか」とした。

 日本はこの後、現地時間31日にナイジェリアと対戦する。五輪の女子サッカー競技は12チームが出場し、4チームずつに分かれた3組のそれぞれ2位以上と3位のうち上位2チームが準々決勝へと進出する。ナイジェリア戦と同組のもう1試合の結果次第で首位通過から4位敗退まであり得る勝負どころになった。

[PROFILE]
岩清水梓(いわしみず・あずさ)/1986生まれ、岩手県出身。2001年に日テレ・ベレーザ(現日テレ・東京ヴェルディベレーザ)でリーグ戦デビュー。なでしこジャパンには06年に初選出され、女子W杯メンバーに3度、五輪メンバーには2度選ばれ、11年W杯の優勝を経験した。20年3月に第一子を出産し、“ママさん戦士”として現役を続ける。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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