なでしこJ、スタメン組の“明暗” 「素晴らしい動き」「影響力を欠く」海外記者が採点
英国人記者がブラジル戦の先発メンバー採点
パリ五輪の女子サッカー競技は現地時間7月28日にグループリーグ第2戦が行われ、C組のなでしこジャパン(日本女子代表)はブラジル代表に1-2で逆転勝ちした。後半アディショナルタイムにDF熊谷紗季がPKを決めて追い付くと、後半途中から出場の19歳MF谷川萌々子がロングシュートを叩き込んで劇的な勝利を収めた。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材中の英国人記者マイケル・チャーチ氏が先発メンバー11人を採点する。
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なでしこジャパンのブラジル戦出場メンバー採点(10点満点)
<GK>
■山下杏也加(無所属) 6.5点
その正確なフィードによって、試合序盤にブラジルの守備をこじ開けられたが、彼女のチームメイトたちはそのチャンスを生かせなかった。ジエニフェルがゴール隅に放ったシュートに対しては、できることがほとんどなかった。
<DF>
■南 萌華(ASローマ/イタリア) 6.0点
メンバー変更を余儀なくされた池田太監督は、守備的な3バックを採用するにあたって最終ラインの左に彼女を移した。チームの形は変わったが、メダルの望みをつなぐために負けを回避しなければならなかった試合で、堅固なパフォーマンスを見せた。
■熊谷紗希(ASローマ/イタリア) 7.0点
その経験が最も重要な瞬間に発揮され、ベテランは冷静かつ力強くPKを決めてチームを同点にし、日本の勝利への望みをつなぎ止めた。そして遅い時間帯の勝ち点3獲得へと導いている。
■高橋はな(三菱重工浦和レッズレディース) 6.0点
なでしこの負傷者が増えているなかで、池田太監督は複数の選手交代を行い、3バックの最終ラインの右に入った。ブラジルの先制点の場面では簡単に崩されてしまった。
■古賀塔子(フェイエノールト/オランダ) 6.0点
絶対的な実力者である清水理紗が敗れたスペイン戦で負傷したことで欠場となったことに伴い、右ウイングバックにポジションを移した。清水がもたらす突破力には欠けていたが、それでも十分に堅実であった。
■守屋都弥(INAC神戸レオネッサ) 6.5点
前半から時間が経過していくなかで、徐々に試合に関与していった。彼女のパスとピッチ上での存在感は左サイドの高い位置で大きな貢献となった。残り10分で交代するまで、そのパフォーマンスを後半もしっかりと維持した。
<MF>
■宮澤ひなた(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド) 6.5点
前進する際には才能の片鱗を見せた。前半19分に田中美南が逃したチャンスに関与したほか、長谷川唯が逃したチャンスにも大きく関わったが、存在感を発揮し続けられたわけではなかった。
■長野風花(リバプール/イングランド) 5.5点
フィジカルの強いブラジルを相手に苦戦を強いられて、なかなかゲームに入ることができずに沈黙を強いられた。日本は中盤で彼女の影響力を欠くことになった。
■長谷川唯(マンチェスター・シティ/イングランド) 6.5点
残念ながら日本に先制点をもたらすことはできなかったが、宮澤とともに素晴らしい動きで攻撃の起点と終点になりかけたが、最終的にはGKの手に阻まれた。日本の中盤の中心として、相変わらず勤勉にハードワークしていた。
■浜野まいか(チェルシー/イングランド) 5.5点
試合への関与は最小限にとどまり、左サイドのアタッカーは前半終盤に気まぐれに流れてきたボールから大きくブラジルのゴールを外れていったシュートを放った。後半早々に植木理子と交代したことは不思議ではなかった。
<FW>
■田中美南(ユタ・ロイヤルズ/アメリカ) 5.5点
前半に2つの決定機を逃すミスを犯したことによって、日本の決勝トーナメント進出を極めて難しくする恐れもあった。前半20分にはインサイドで大きく枠を外すシュートを打ち、さらに弱弱しいPKを放った。幸いにも彼女のチームメイトたちが、その埋め合わせをしてくれた。
(マイケル・チャーチ/Michael Church)
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。