衝撃25mミドル弾は「男子の試合でも入っていた」 代表OB絶賛…新星19歳の“輝く才能”【見解】
【専門家の目|栗原勇蔵】谷川萌々子のダイレクトプレーに脱帽「選択肢があるのが凄い」
なでしこジャパン(日本女子代表)は現地時間7月28日、パリ五輪の女子サッカー・グループリーグ第2戦でブラジル代表を2-1で破った。19歳のMF谷川萌々子が劇的なミドルシュートを決めて勝利に貢献。元日本代表DF栗原勇蔵氏は、「男子の試合だとしても入っていたと思う」と好判断を称えている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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前半から多くのチャンスを作りながらも生かせず、同アディショナルタイムにはFW田中美南がPK失敗で先制の絶好機を逃してしまう。
逆に、後半11分にブラジルFWジェニフェルに先制ゴールを決められて、ビハインドを背負ったが、そのまま試合終了かと思われた同43分、日本は途中出場の19歳MF谷川がエリア内でドリブルを仕掛けて、相手のハンドを誘発。これをキャプテンのDF熊谷紗希がゴールに決めて同点に追い付く。さらに、同アディショナルタイムには谷川がパスカットしたボールを約25メートルの距離からダイレクトで蹴り込み、ブラジルGKの頭上を抜いてゴールネットを揺らした。
現在19歳の谷川はJFAアカデミー福島から2024年1月にドイツのバイエルン・ミュンヘンへ移籍。2024年シーズンはスウェーデンのFCローゼンゴードへ期限付き移籍となった。代表シーンでは、2022年にU-17ワールドカップ(W杯)に出場し、昨年12月の親善試合ブラジル戦でA代表デビューを飾っている。
なでしこジャパンの今後を担っていく逸材の活躍について、日本代表OB栗原氏は「相手のパスミスではあったけど、ゴールへの意識がなかったら、あそこでシュートという選択肢はなかった。ボールを奪いに行ったあとに何を狙うかまで考えていたプレーだと思う」と語った。
実際、谷川は「試合に入る前にもお父さんから連絡があってブラジルのGKは結構前に出ているからどんどん狙って行けと伝えてもらったし、そのおかげで、自分自身もその狙いを意識して入ることができた」と、“狙った一撃”だったことを明かしている。
栗原氏は、「男子の試合だとしても(GKとしては)あのタイミングで打たれたら入っていたと思う。ダイレクトで蹴る選択肢があるのが凄い。GKの位置も確認していたし、判断+正確なキックが加わっている。すごくレベルの高いプレー」と谷川のポテンシャルを高く評価していた。
(FOOTBALL ZONE編集部)
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。