19歳の谷川が大仕事

　パリ五輪の女子サッカー競技は現地時間7月28日にグループリーグの第2戦が行われ、C組のなでしこジャパン（日本女子代表）はパリでブラジル代表と対戦し、試合終了間際に2得点して2-1の劇的逆転勝利を飾った。

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　五輪の女子サッカー競技は12チームが出場し、4チームずつに分かれた3組のそれぞれ2位以上と3位のうち上位2チームが準々決勝へと進出する。日本は初戦で昨年の女子ワールドカップ（W杯）を制したスペインに敗れ、背水の陣で南米の強豪との対戦に臨んだ。

　池田太監督は、その初戦で負傷してチームを離脱したDF清水梨紗のいた右サイドに18歳のDF古賀塔子を配置し、DF北川ひかるの復帰が間に合わない左サイドはDF守屋都弥を起用。FW浜野まいかがスタメン起用された一方、初戦で先制ゴールのMF藤野あおばは登録メンバーから外れた。

　両者のシステムが噛み合い、互いに自然とマンツーマンのような形になり拮抗するなかで前半19分、日本は相手セットプレーを守り切ったところからGK山下杏也加が一気に右サイドへフィード。スペースに抜け出したMF宮澤ひなたから中央へ正確なラストパスが通り、FW田中美南が合わせるだけの決定機を迎えたもののシュートをゴール左へ外してしまった。

　ブラジルにセットプレーからシュートを許す場面もあったが、膠着状態のなかで迎えた前半アディショナルタイム、日本は前線の連係で守屋が中央に回ってきてシュートを放つと相手DFのブロックがハンドの反則に。このプレーで日本はPKを得るとキッカーの田中はゴール右を丁寧に狙ったが、GKに読み切られてセーブされてしまう。日本は大きなチャンスを逸し、0-0でハーフタイムを迎えた。

　前半と同じような立ち上がりを見せた後半だが11分、ブラジルはFWマルタがポジションを下げてボールを捌くと、ついていったDF熊谷紗希が前に出た背後にブラジルの攻撃陣が抜け出した。日本はDF南萌華とDF高橋はなの2枚で対応したが、後半から出場のFWルジミラとFWジェニフェルのコンビに切り崩され、最後はジェニフェルにシュートを決められてしまった。ビハインドを背負った日本は直後に浜野に代えてFW植木理子を投入した。

　後半18分には守屋が中央に上げたクロスを田中がワンタッチコントロールから反転ボレーを放ったが、これも相手GKがファインセーブ。後半25分、池田監督は右サイドを古賀から昨季のWEリーグで20得点と圧倒的なゴール数を稼ぎ出したMF清家貴子に入れ替えた。さらにラスト10分で宮澤と守屋に代え、FW千葉玲海菜とMF谷川萌々子を送り込み、長谷川をシャドーに上げた。

　そして後半43分、セットプレーの二次攻撃からペナルティーエリア内で谷川がドリブルで仕掛けると、スライディングで対応した相手選手が手でボールに触れてしまう。ビデオ・アシスタント・レフェリー（VAR）の介入でオンフィールドレビューが行われ、日本にPKが与えられた。チームにとってこの日2本目のPKは、主将の熊谷がキッカーに。これをゴール右に流し込んだ。

　さらに後半アディショナルタイム、日本は清家のドリブルが相手に阻まれたこぼれ球を谷川が右足ダイレクトでロングシュート。これが前に出ていた相手GKの頭上を越えゴールに吸い込まれ、土壇場で劇的な2-1の逆転勝利を手に入れた。

　2試合を終えて勝ち点3に持ち直した日本は現地時間7月31日のグループリーグ最終戦で、準々決勝進出に向けてナイジェリアとの決戦に臨む。