U-23日本は強者か…南米1位は「レベル下がるな」と選手実感、5発圧勝の裏で何が?【現地発】
南米予選を1位で突破のパラグアイを5発一蹴、大岩Jが五輪で好発進
南米予選を1位で突破し、五輪に乗り込んだパラグアイを相手に大岩剛監督率いるU-23日本代表は5-0で大勝した。これは日本が強いのか、それともパラグアイが拍子抜けだったのか。
パラグアイの前評判は高かった。なんといっても南米予選を首位突破、ブラジルもアルゼンチンも勝てなかったチームなのだ。さらにオーバーエイジも2枠使い、ブライトンで三笘薫の同僚フリオ・エンシソの招集にも成功。ブラジルの五輪出場も阻止したチームは本気でこの大会に臨んで来ていた。
日本ももちろん警戒して臨んだ。「ベースは5バック気味の堅守速攻だが、相手によって戦い方を変えることができる。とにかくゴリゴリとラフプレーも多い」というのが事前の大方の選手のパラグアイ評だった。
選手たちに1つ“世界基準”をもたらしたのは1週間前に戦ったフランスとの親善試合だ。開催国フランスは本気メンバーを揃え、強化合宿も行って来た。技術も高くボール保持もできるが基本的には2トップのオーバーエイジ、アレクサンドル・ラカゼットとジャン=フィリップ・マテタが裏抜けからゴールを狙うスピードと強さ任せのサッカーを展開。日本は圧倒されながらも、プレッシングからどうにか先制し、1失点こそしたもののドローで終えている。このフランスのクオリティーが日本選手には染み付いていたことで、パラグアイを圧倒できたという側面がある。パラグアイ戦の3点目を決めた山本理仁は言う。
「個人的なところではエンシソ選手とかうまい選手もいるけど、直前のフランスより1つ2つレベルが下がるなと感じたし、フランスとやれて良かったのと、これくらいの相手ならという自信も得られた」
フランスという基準、物差しを得て、今後も試合を重ねていくことができるのは大きな収穫だ。
また、このフランスは日本と戦う前にパラグアイとも親善試合を行い4-1で勝利していた。日本はこのフランスと1-1で引き分けたことを考えると、パラグアイに対する5-0の勝利は妥当と言えるかもしれない。
パラグアイには個としてのスピードも強度もあったが、チームとしての戦術や、その練度が見られなかった。言ってみれば日本とは対照的な戦い方が、日本相手には通用しなかった。また、パラグアイ国内でプレーする選手がほとんどで、アフター気味のラフプレーや平河悠を交代に追い込んだファウルなどは、欧州では見られない悪辣さ。国内ではファウルとされないプレーが国際試合では通用しない、そんな経験不足も彼らにはあったように見受けられる。
冒頭の問いに戻り、日本が強いのかパラグアイが拍子抜けだったのかを考えると、後者だったと今の時点では言いたい。大岩監督も「(相手がほとんどの時間帯で)1人少なかったのでボールを握れたが、少しネガティブなプレー選択をする時間もあった。一回修正しなきゃいけないし、もっと質のいい試合をすることができたのかなと思っています」とあくまでチームを引き締めている。
第2戦は日本が国内での親善試合で敗れたマリ、第3戦は高井幸大らの世代がU-20ワールドカップで敗れたイスラエルと、ビッグネームではないもののいぶし銀の強豪が揃う。日本強しと言い切りたいところではあるが、まずはその2戦を見てから改めて判断したい。
(了戒美子 / Yoshiko Ryokai)