いよいよパリ五輪、早速会場で巻き込まれたトラブル 大会の“洗礼”に記者困惑【現地発】

現地でトレーニングをするU-23日本代表【写真:ロイター】
現地でトレーニングをするU-23日本代表【写真:ロイター】

なでしこジャパンはフランス・ナントで初戦に挑む

 なでしこジャパン(日本女子代表)が初戦を迎える都市――ナントでは7月24日に男子B組アルゼンチンVSモロッコ、C組ウズベキスタンVSスペインを皮切りに、計5試合が開催される。パリから列車で約2時間半、緑豊かな街中では数々のアート作品に出合うことができる。ブルターニュ公爵城や巨大像のアトラクションで有名なレ・マシーン・ド・リル、屋根付きアーケード街のパッサージュ・ポムレなど観光には事欠かない。そこに五輪というスポーツの祭典が加わり、この夏は大いに賑わいを見せている。

 ここ1週間は最高気温が23~27℃あたりを行き来し、最低気温は13、4℃まで下がることも。ライトダウンを着て颯爽と自転車を走らせる人もいれば、半袖短パンで闊歩する人も見かける。ベストな服装を見つけるのが難しい日々だ。それでも晴れれば、気持ちのいい青空のもと、美食の街で知られるナントの街は活気に満ちる。初夏のこの時期、ロゼワインに絶品シーフードを合わせれば、思わず笑みがこぼれる。会計時には円安の恐ろしさに直面するが、円換算癖を放棄することで無駄に落ち込むことがなくなった。

 高速鉄道TGVが到着するナント駅構内にはオリンピックカウンターが設置され、スタッフが丁寧に対応してくれる。会場へ向かう公共交通機関の乗り換えなどは、わかりやすく足もとや頭上のサインボードで示してくれているので迷うことはなさそうだ。今回はトラムに乗車してみたところ、約20分でスタジアム前まで運んでくれた。

 会場となる「スタッド・ドゥ・ラ・ボージョワール」はというと、試合当日の進行リハーサルの真っ最中。多くのスタッフが行き交い、音響は導線など最終確認を行っていた。各国の報道陣の基地となるのがベニューメディアセンター(VMC)。すでに記者会見のセットは組まれ、ゲームデイを待つばかりとなっていた。

 ナントのVMCに入る最初のメディアが洗礼を浴びるのは運営スタッフによる謎の五輪モードのセキュリティー。フォトグラファーが荷物チェックで「カメラは持ち込めません」と言われる。「フォトグラファーは全員カメラを持っていますけど」と返すと、「映像が撮れるカメラは持ち込めません」と来た。「現代のカメラ内の映像機能は標準装備ですよ」と再び返す。「それでも決まりです」との返事。「このルールではフォトグラファーは五輪で一枚も写真を撮れませんね……」。そして最初のやり取りに戻る。これが、練習会場が変わるごとに繰り返される訳だが、あちらも初めてのメディア対応、困惑しながらも懸命に打開策を見出してくれる。このゴタゴタは各ベニューに先陣を切って入るメディアが必ず通る道、いわゆる“あるある”だ。

 それでも日が経つにつれてルールは正常化され、必ずスムーズに進み始めるもの。その頃にはスタッフとも顔馴染みになって会話が弾むほどの仲になっているのも“あるある”なのだ。パリから離れたナントの地で、いよいよパリ五輪が始まろうとしている。

(早草紀子 / Noriko Hayakusa)

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早草紀子

はやくさ・のりこ/兵庫県神戸市生まれ。東京工芸短大写真技術科卒業。在学中のJリーグ元年からサポーターズマガジンでサッカーを撮り始め、1994年よりフリーランスとしてサッカー専門誌などへ寄稿。96年から日本女子サッカーリーグのオフィシャルフォトグラファーとなり、女子サッカー報道の先駆者として執筆など幅広く活動する。2005年からは大宮アルディージャのオフィシャルフォトグラファーも務めている。日本スポーツプレス協会会員、国際スポーツプレス協会会員。

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