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57歳カズが37度猛暑でプレー…守備奔走も“らしさ”披露、元日本代表FWも驚嘆「信じられない」
カズは滋賀とのアウェー戦で36分間プレーもシュート打てず
JFLアトレチコ鈴鹿の57歳FWカズこと三浦知良が7月21日、レイラック滋賀とのアウェー戦(東近江)で2試合連続途中出場。気温37度の猛暑のなか、後半16分からアディショナルタイムを含めて36分間プレーした。劣勢の中で守備におわれる場面も多くシュートも0。試合は2-2で引き分け「ディフェンスの時間が長くて、攻撃の形が作れなかった」と話した。
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鈴鹿復帰後、初のアウェー戦。2-1とリードしながらも滋賀に押し込まれていた場面で投入された。トップの位置でゴールを目指すも、相手に中盤を支配されて前線に孤立。ほとんどボールに触れず、相手ボールを追いかけるシーンばかりが目立った。
しかし、少ないながらも酷暑の中集まった2000人を超すファンを沸かせる場面はあった。クロスボールに飛び込んだり、絶妙なポジション取りでボールを呼んだり。もっとも、いずれもシュートすら打てず「もう少しというのはあったけれど、合わなかった」と残念そうに言った。
それでも、カズ“らしさ”は見せた。この日、YouTube配信の解説を務めた元日本代表の武田修宏氏(56)は「ゴールへの意欲というか、執念は相変わらず。相手の嫌なところにいるし、常にチャンスを狙っている。さすがカズさんだよね」と舌をまいた。
ヴェルディや日本代表でカズと2トップを組んだ武田氏は2年前、カズが所属した鈴鹿(当時名:鈴鹿ポイントゲッターズ)では臨時コーチも務めた。「1年半ぶりに会ったけれど、変わらないね」と笑い「ポルトガルは個が強いといっていた。より個への意識が強くなっているみたい」と話した。
この日、東近江の気温は37度。暑さ指数(WBGT)も「30.7」まで上がった。外での運動は「危険」とされる環境に「サッカーだけではなく、どんなスポーツも、生活さえも大変な暑さ。さすがにサッカーをやる環境ではないかなとは思うけれど、みんなこの中でやってますから」と話し「仕事なんで、休むわけにはいかないので」と笑った。
年齢的なことは決して口にしないが、若手に比べて暑さが体力を奪っていることは間違いない。7月2日の鈴鹿合流時には「ポルトガルも暑かったけれど、湿度が全然違う」と本音もポツリ。それでも、2試合続けて30分以上プレー。試合前にサッカー教室をした武田氏は「信じられない。立ってるだけでも辛いのに」と同世代の頑張りに舌をまいた。
この日はプロ39年目にして初めて「クーリングブレイク」も経験。ピッチ上で約1分間水分補給する「飲水タイム」と違い、控室など日陰で3分間体を冷やす暑熱対策。今年から採用したJリーグに先立ち、JFLでは16年から導入している。ナイター設備などの問題で昼間の試合も多いJFL、そんな厳しい環境でカズはプレーしている。
カズにとっての朗報は、長いサマーブレイクに入ること。今季は日程の関係でリーグ戦は5週間空く。鈴鹿の次戦は9月1日。2戦連続酷暑の試合で疲労も心配されるが「休みに入るので、そこでしっかりトレーニングして、再開後に備えたい」と前向きに話した。
合流3週間で、まだチームメートのコンビネーションがいいとは言えないし、新たに就任した朴康造監督のサッカーもチームに浸透するには至っていない。だからこそ、この1か月半は貴重になる。「みんなとコミュニケーションとって、やっていきたい。練習試合もあるので、そこで(調子を)上げていく」と暑さも落ち着く再開後を目指して話した。
日本ピッチ復帰から2試合をこなしたカズにとって、鈴鹿で本当に輝けるのは秋以降か。そのためにはコンディションが重要。「よく食べて、よく寝て」に続けて「ちょっとフィーバーして」。ここまでの前向きな手ごたえからか、笑顔で30年前に戻ったようなジョークを飛ばしていた。
(荻島弘一/ Hirokazu Ogishima)
荻島弘一
おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。