昨季J1最少失点クラブに“陰り”「34失点は多すぎ」 浦和監督が“危険な兆候”を指摘
浦和は札幌に3-4で敗れた
浦和レッズは7月20日のJ1リーグ第24節北海道コンサドーレ札幌に3-4で敗れた。一時は0-4のワンサイド状態から追い上げた形だったが、守備崩壊のゲームになったのは事実。主将のMF伊藤敦樹とペア・マティアス・ヘグモ監督は中断期間の底上げが必要なものは守備面だという意見で一致した。
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前半30分くらいまでは主将のMF伊藤敦樹が「悪くなかったといったら結果はあれですけど。内容だけ見たら悪くはなかった」と話したように、浦和にだけ得点チャンスが訪れるような時間帯だった。しかし、そこからセットプレーで不用意に失点し、そのあとにはラインを上げる動きが乱れて簡単に背後を取られて失点した。0-2でのハーフタイム入りに伊藤も「内容は2失点で折り返す内容じゃなかった。そこで立て続けに、セットプレーで失点してイージーな形で2失点してというのがすべてかなと思う」と話した。
そして、後半の頭に向け4-4-2の中盤をダイヤモンドにする形で反撃を目論んだが、そもそも前半からハマっていなかった自分たちから出ていくプレスは輪をかけてバラバラになった。MF安居海渡をアンカーに置いたが「3失点目はそれが仇となって海渡がつり出されて、展開されて、また海渡が出て行ったところを使われた」と伊藤が話したように、整理されずに遅れ気味に出て行って、間延びした逆を取られていく守備は崩れ切っていた。
この3試合、試合時点で降格圏の湘南ベルマーレ、京都サンガF.C.、札幌との3試合を1分2敗で終えた。湘南戦の時点で3バックの相手にハマらない状態でも強引に仕掛けるプレスは危険な兆候を見せていた。ヘグモ監督は札幌戦後の記者会見で現時点での脆弱性を問われると「その通りだと思う。特にミドルブロックからプレスにいくとき、トリガーのタイミングを改善しないといけない。ただ、それもまた波があり、上手くいっている時間もあるが、そうでない時間もある」と話していた。
昨季はJ1最少失点だった浦和だが、それはミドルからローブロックで待ち構えてゴールを守る強さを発揮した側面があった。今季より前方に、自分たちからボールを奪う守備を構築しようとしていることから、モデルチェンジの要素が大きいのは事実だろう。しかし、負傷者が続出するなかで4-3-3の状態での守備が始動から数か月経っても十分な向上を見せられず、ここ1か月ほどは相手ボール時を4-4-2でセットしている。
伊藤は「4-4-2にしてからの方が個人的に守りやすい」とは話すものの、「これからどっちを選択するにしても、守備の構築はこの中断期間でもっとやっていかないといけない」と課題が山積みであることを表現した。
ヘグモ監督は「このあと、夏の中断に入るが、全員にとって良い効果のあるものになればと思う。再度合流して練習再開する時にはしっかり準備ができていればと思う。怪我人も戻り、全員でレベルを上げていければ。リーグ戦で39得点を奪ったが、34失点は多すぎた。ここ5試合のうち3試合は無失点だったが、守備のところは全体的に底上げしないといけない。チームとしてのプレスも、1対1の守備もそうだ。チャンスを作り続けながら得点を重ねないといけないが、前半戦で何度か見せた安定した戦いを取り戻さないといけない」と話した。
攻撃で押し込み切った状態で素早く切り替えて相手ボールを奪い返しにいく鋭さは武器になっているが、ブロックを組んだ状態、あるいはそこからプレスに出ていく状態の精度は高くない。それは、ハマった時は強いが、外されるとあっさり崩れてしまう現状を招いている。指揮官の望む安定感を手に入れるためには、中断期間での整理が必要なのは確実になっている。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)