“1298分”沈黙も「必要」 目覚めた元日本代表FWへ…恩師の思い「来年いなくなるかも」
鈴木武蔵が今季初得点、ミシャが言葉を紡ぐ
北海道コンサドーレ札幌は7月20日のJ1リーグ第24節で浦和レッズとのアウェーゲームに臨み、4-3の勝利を収めた。2得点した元日本代表FW鈴木武蔵について、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督は「1人の選手が本来の力を出せるように戻すのは、試合に出ていなかった時期が長ければ長いほど大変だと思う」と、その我慢の時期について話した。
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前半の半ば過ぎまでは浦和のチャンスが多い展開だったが、札幌は前半37分、MF青木亮太の左コーナーキックをDF岡村大八が打点の高いヘディングで合わせて先制ゴール。さらに前半アディショナルタイム、DF髙尾瑠が最終ライン背後に出したパスにFW鈴木武蔵が抜け出してGK西川周作との1対1で冷静に流し込んだ。鈴木のオフサイドが際どくビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)のチェックも長くなったが、DF石原広教がわずかに残っていてゴールが認められた。
ハーフタイムに雷雨による中断があり後半開始が遅れた試合だったが、2点を追うためにシステムを変えた浦和の穴を突いて札幌は得点を重ねる。後半6分には浦和戦が古巣対決のMF駒井善成が追加点を奪い、後半12分には鈴木がこの日2点目であっという間に4点差に広げた。そこから3点を返されて最終的に4-3の勝利と薄氷を踏むかのものになったが、リーグ10試合ぶりの勝利を手にした。
鈴木はこの試合まで18試合に出場、1298分間プレーしていたが、この日の1点目が待望の今季初得点となった。2012年にアルビレックス新潟へ入団。期限付き移籍も多いキャリアで19年に札幌へ移籍すると、ペトロヴィッチ監督の指導を受け得点力が開花した。そしてベルギーに移籍したが苦しい時期を過ごし、ガンバ大阪を経て今季に札幌へ戻った。
ペトロヴィッチ監督は「ベルギーではなかなか試合に出られず、ガンバでも出場がなかなかできなかった。その時期が長かっただけに、元の状態に戻るのに時間が掛かると思っていた。キャンプ中には怪我もあり良いトレーニングができずシーズンが始まり、ここまできた。1人の選手が本来の力を出せるように戻すのは、試合に出ていなかった時期が長ければ長いほど大変だと思う。私は我慢が必要だと思ったし、我慢して起用することで彼の状態が戻ると思っている」と話した。
一方で「このままリーグ戦で得点を重ねるようなことがあれば、来年またいなくなるかもしれませんが。札幌はなかなか予算を掛けて完成されたFWは獲得できない。大卒の選手を獲得して育てては売られていくというサイクルで回っている」という言葉を付け加えるあたりにペトロヴィッチ監督らしさも見られたが、実力を信じて起用してきたことは事実だ。
この日の2ゴールで最前線のストライカーが復活を遂げるなら、シーズン後半戦で札幌の得点力が爆発する可能性も大いに秘めている。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)