“苦労人”元日本代表MFが辿り着いた「400」 史上33人目の偉業…35歳で突き詰める「走る」

G大阪の倉田秋【写真:Getty Images】
G大阪の倉田秋【写真:Getty Images】

G大阪の倉田秋はJ1通算400試合出場を達成

 偉業達成も笑顔はなかった――。ガンバ大阪の元日本代表MF倉田秋は7月20日、J1リーグ第24節湘南ベルマーレ戦(0-1)で先発出場を果たし、歴代30位(33人目)となるJ1通算400試合出場を達成した。1位はずっと背中を見てきた遠藤保仁(672試合)。ひたすら努力し続けてきた背番号10は記憶にも記録にも残る選手として歩み続ける。

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 400試合。積み重ねてきた数字の大きさも、関係なかった。ただただ勝てなかった現実を受け入れた。11試合ぶりの先発ピッチも、チームは3試合ぶりの黒星。試合後の倉田の表情は悔しさに満ち溢れていた。

「(400試合は)関係ない。ただ自分が出て勝たせることができなかった」

 G大阪の下部組織で育ち、2007年にトップへ昇格した。当時はボランチを主戦場としていたが、遠藤らの牙城を崩すことが出来ず、ジェフユナイテッド千葉、セレッソ大阪と武者修行に出た。J2の千葉では当時の江尻篤彦監督と出会い、徹底的に走力を叩き込まれた。2部錬、3部錬もあり、砂浜も坂道もとにかく走った。ハードワークの土台が出来上がると、C大阪ではMF清武弘嗣やMF乾貴士らとともに攻撃面での仕掛けをレビー・クルピ監督の指導の下、身に着けた。

 2012年にG大阪へ復帰し、J2降格も経験したが、昇格後の三冠獲得、天皇杯連覇など主力として活躍。2015年には東アジアカップ(現E-1選手権)でバヒド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表に初選出され、ワールドカップ(W杯)予選も戦った。国際Aマッチは9試合2ゴール。G大阪での背番号も10番になった。

 順風満帆な400試合に思えるが、さまざまな苦労を乗り越えてここまで来た。11月には36歳を迎える。昨年はリーグ17試合の出場、今年はここまで18試合に出場している。ベテランとなった今でも献身的な姿勢は変わらない。

「今のチームは走れないとあかん。自分にそれができるなら、とにかく走り続けないと」

 今シーズンの序盤にそう漏らしていた。どんな時も、どんな声も跳ね返して力にしてきた男だ。10番を付けた当初にあったネガティブな反応に対しても「ここから何年かけてでも俺に似合う番号と言ってもらえるように結果で示していきたい」と、ただ真摯に向き合ってきた。

 もう10番を背負って8年目になる。14年付けた二川孝広にはまだ追い付けていないが、G大阪の10番と言えば? と聞かれて、倉田と答える人も多いはずだ。

 チームは現在2位につける。プロ生活18年目に突入した生え抜きの“レジェンド”倉田とともにタイトル獲得まで突き進む――。また、あの歓喜の瞬間を味わうために。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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