黒田監督も感じた変化「意図は見えた」 激震の横浜FM…監督退任で得た「自由」の恩恵

町田に勝利した横浜FM【写真:Getty Images】
町田に勝利した横浜FM【写真:Getty Images】

ジョン・ハッチンソン暫定監督の体制で迎えた初ゲームは2-1で勝利

 横浜F・マリノスは、監督交代の激震のなか連勝を収めた。7月16日にハリー・キューウェル氏が解任され、20日のJ1リーグ第24節FC町田ゼルビア戦はジョン・ハッチンソン・ヘッドコーチが暫定的に指揮を執っている。その町田戦で2-1の勝利を飾った横浜FMは、2年前のような自信を取り戻したプレーを披露してくれた。

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 前節、鹿島アントラーズとの一戦で4-1と今季最多タイの得点を重ねて白星を挙げた横浜FM。苦しい4連敗を脱し、これからというところでキューウェル氏の解任が決まった。ジョン・ハッチンソン暫定監督の体制で迎えた町田戦は、スタメンを変えずに挑み、勢いそのまま勝利をもぎ取っている。

 前半33分にFWエウベルの鋭いカットインシュートから、相手のPKを誘いFWアンデルソン・ロペスが得点。同43分には、左サイドへの展開から相手のGKとDFラインの間を突いた見事なクロスから、MF天野純のゴールが生まれた。

 2点のリードを保ち前半を優位に進めた横浜FMだったが、後半は町田も反撃。移籍したばかりのDF杉岡大暉や、大卒ルーキーのMF芦部晃生など次々と選手を投入し勢いを取り戻した町田に押される形となる。それでも相手の反撃を1点に抑え、2-1で約1か月前にホームで敗れたリベンジを果たした。

 6月15日の前回対戦では、町田に1-3で敗れた横浜FM。今季2度目の対戦を終えた町田の黒田剛監督は「中盤の配置が変わって守備をきっちり固めたいという意図は若干見えた。西村(拓真)など補強を通じてパワーアップして今回臨んできた」と、感じた変化を口にする。

 一方、ハッチンソン暫定監督は短い準備期間で「何か特別なことというよりかは、やってきているところで、もっと自由度を与えた」と明かす。アグレッシブな守備から流動性のある攻撃を、特に前半披露していたチームの“キーワード”の1つだ。

「自由度を高めることによって、より選手たちがお互いを見ながらいろんなポジションを取れるそういうことを常に行ってきた。前半は自分たちのサッカーができたなかで、攻撃陣だけではなく守備の選手たちも、ボールをしっかり扱ったなかで、少ないタッチで相手のライン間を突破するようなボールもどんどん出してくれた」

 一転して後半は苦しい時間帯も増えた。そんななか監督が放った2つ目のキーワードは「常に最後の最後まで戦う」というメッセージ。町田の猛攻を受けながらも耐え忍んだ選手たちを「落ちることなくしっかり戦ってくれた」と指揮官は称えている。

選手に共通するマリノススタイルの“アップデート”の意識

 最後尾でゴールを守っていたGK飯倉大樹は「とにかく暑くて疲れた」と、30度を超える気温で行われた決戦に言及。「それ以上にフィールドはもっと疲れていると思う。この暑いなかで、前半部分にああいうつなぐところとかができて、町田のサッカーをさせなかったのはいい傾向じゃないかな」と、好感触を得ている。

 このゲームの横浜FMは、2年前にJ1リーグを制覇した時のような“ワクワク感”を思い起こしていた。「自分たちのサッカーはこうだというものをジョンが作ろうとしている。いろんな意味でアップデートさせていったらいいんじゃないかな」と飯倉も語り、こういった言葉はほかの選手にも共通している。

 6月1日以来の出場となったMF水沼宏太(後半37分から途中出場)も「自分たちがやれるなというようなサッカー像みたいなもの、モデルはまだまだ高みにあると思う」と連勝に満足せず。町田戦では守りに入った後半の時間帯が多かったが「守り切るではなく、攻め切る。攻め勝つチームを目指していかないといけない」と、具体的な“マリノススタイル”の進化を目標と示した。

 最後にミックスゾーンに登場したキャプテンのMF喜田拓也は、達観した視点でこれまでを振り返る。「ハリーとの挑戦がすべて無駄だったとは思わない。その期間があったから、マリノスらしさとか発見、成果があった」と前監督のサッカーを経てもらった経験値を実感。そのうえで「足りなかった、できなかったことを全員で受け止めて。悔しさも苦しさもあったけど、マリノスファミリー全員で進んできたので、それがすべてつながっているなと感じたゲームだった。まだ全員でここからチャレンジしていきたい」と、まさにリーダーらしい言葉でチームの未来を見据えていた。

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