「バイエルンに勝つようなもの」 “過酷な環境”で…J1最下位が掴んだ「歴史的な勝利」
J1最下位の札幌、アウェーで浦和に4-3で勝利、リーグ10試合ぶりの白星に
北海道コンサドーレ札幌は7月20日のJ1第24節で浦和レッズとのアウェーゲームに臨み、4-3の勝利を収めた。4点リードから3点を返される展開だったが、リーグ10試合ぶりの勝利をミハイロ・ペトロヴィッチ監督は「我々の病気に効く薬は勝利しかない。その薬を飲むことで立ち直っていく」と話した。
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前半の半ば過ぎまでは浦和のチャンスが多い展開だったが、札幌は前半37分、MF青木亮太の左コーナーキックをDF岡村大八が打点の高いヘディングで合わせて先制ゴール。さらに前半アディショナルタイム、DF髙尾瑠が最終ライン背後に出したパスにFW鈴木武蔵が抜け出してGK西川周作との1対1で冷静に流し込んだ。鈴木のオフサイドが際どくビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)のチェックも長くなったが、DF石原広教がわずかに残っていてゴールが認められた。
ハーフタイムに雷雨による中断があり後半開始が遅れた試合だったが、2点を追うためにシステムを変えた浦和の穴を突いて札幌は得点を重ねる。後半6分には浦和戦が古巣対決のMF駒井善成が追加点を奪い、後半12分には鈴木がこの日2点目であっという間に4点差に広げた。
しかし、浦和が後半16分までに5人の交代枠を使い切って前線を入れ替えるとゲームの表情は変わった。後半32分に相手FWチアゴ・サンタナにコーナーキックからヘディングでゴールを許すと、そこからは防戦一方になった。後半36分、後半45分と失点して1点差に迫られてアディショナルタイムの表示も9分に。プレーの再開を遅らせる行為でイエローカードをもらう選手も出るような必死の戦いで、最後は1点差を守り切った。
2012年から17年途中まで浦和を率いたペトロヴィッチ監督は「今の5人交代のルールに関しては、予算規模の大きいチームが優位なのは間違いない。札幌が今シーズン厳しい戦いを強いられているのはそういう部分もあると思うし、厳しい中できたけれどもようやく1つ勝てた。次につながる勝利だと思う。ここ埼玉スタジアム、素晴らしいスタジアムで非常に素晴らしいサポーターの前で札幌が素晴らしいゲームをできたのが嬉しく思うし、久々の勝利と勝ち点3も嬉しく思う」と話した。
そして「ここまで勝ち点12(試合前時点)の最下位で、多くの人からはもう残留できない、死んだチームと思われているかもしれないが、可能性のある限り戦っていくし、その可能性に向けて次の試合からもみんなで戦っていきたい」と、J1残留へ向けての意気込みを話す。そして、勝利がチームに与える影響をこう話している。
「何週間か前に会見で言ったのは、私たちは難しい病気にかかっていると。我々の病気に効く薬は勝利しかないと。その薬を飲むことで立ち直っていく。それしかない。状態を変えるには勝利を続けること、薬を飲み続けることで残留という健康を手に入れる。まだ厳しい状況だが1つ1つ勝利して、勝利という薬を飲むのが必要な処方箋であり立ち直るために必要なことだ」
3万5429人の観衆が詰めかけたアウェーの浦和戦というJ1の中でも厳しい環境での勝利に、ペトロヴィッチ監督は「札幌が勝利すれば歴史的な勝利。ドイツならビーレフェルトがバイエルン・ミュンヘンに勝つようなもの。過去の統計を見ても、札幌が浦和のホームで勝つことはめったに起こることではない」と喜んだ。この1勝が特効薬のようにチームを変えるのか、中断明けの戦いが注目される。