「佐野選手とは特徴が違う」 古巣復帰の元日本代表MFが見解…“引き出す”柴崎岳の魅力
ポポヴィッチ監督の理論と欧州でのやり方に共通点
ベルギー1部OHルーヴェンからJ1鹿島アントラーズへ完全移籍することが発表されたMF三竿健斗が7月18日のチーム練習後、オンラインで加入会見を行った。鹿島への復帰はポルトガル1部CDサンタ・クララへ移籍した2022年以来となっている。
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三竿は2022-23シーズン、ポルトガルで17試合に出場。2023-24シーズンには公式戦21試合に出場して1得点1アシストを記録した。欧州でキャリアを続ける選択肢もあったなかで鹿島に復帰し、「久々に練習を一緒にやってみたんですけど、あまり久々という感じがしない。居心地が良く、やりやすい」と、チームに合流して練習をこなした感触を語った。
鹿島を離れてからも結果だけでなく、可能な限り試合も見ていたという三竿はランコ・ポポヴィッチ監督の率いる今季のチームについて、「すごくコンパクトにプレーしながら、(鈴木)優磨を起点に攻撃を組み立てている。勝つ試合も多いし、ずっと上位を維持しながら後半戦まで入ってきていたので、今年もタイトルを獲ることは現実的に見えているんじゃないかなと見ていました」と、その印象について語った。
今季の鹿島ではダブルボランチをMF知念慶とドイツ1部マインツへの移籍が決まったMF佐野海舟が務めていた。彼らが躍動する中盤を見ていて、三竿は「ボランチの守備のタスクがすごく大きい」と感じていたという。
そして、具体的に「サイドに中盤の選手が流れた時、2人でそこをカバーする。センターバックとサイドバックの間のハーフスペースを取るランニングに関しても、センターバックが中を守って、そこをボランチがついていかないといけないので、すごく運動量が求められる」と言い、「大変なんだろうなと外から見ていました」と、ピッチを広くカバーする大変さを口にした。
だが、それは同時に三竿が欧州でも求められてきたことでもあるという。「ボランチがついていく動きは、ヨーロッパでも求められていることなので。ポポさんもヨーロッパの方なので、そういうやり方がベースなのかな? 見ていて『一緒だな』と見ていました」と、自信が欧州でやっていたこととの共通点を見出していた。
欧州か鹿島復帰で悩み、「僕のやりたいように」と決断
第21節まで、ほとんどの試合をフル出場していた佐野だが、海外移籍もあって直近のリーグ戦2試合には出ていなかった。その2試合は元日本代表MF柴崎岳がボランチに入ったが、前節の横浜FM戦は1-4と敗れている。三竿は「佐野選手と岳くんでは特徴が違う」と言い、「みんなが佐野選手に期待していた部分とか、彼がやっていたことを、そのまま岳くんに求めるのは、僕は違うなと思っています」と言い切った。
そして、「岳くんはゲームコントロールやパスだったり、ビジョンだったり、そういうところでチームにプラスをもたらす選手だと思うので、そこまで比較してはいけないと思うし、僕が一緒に出た時は、守備の部分のところはやれればなと想像していました」と、ボランチでコンビを組んだ際には、キャプテンの能力を最大限に引き出すようなプレーをするイメージを言葉にした。
さらに、「向こうでいろんなサッカーのやり方を学んだし、5、6人の監督の下でプレーする経験もして、いろんなサッカーのやり方がありました。相手がこうしてくるから、こうしようという引き出しも増やせた。今までは1つか2つしか持っていなかった対応力、選択肢が増えたのは、ヨーロッパに行って経験できたことかなと思います」と、欧州でプレーした1年半で得たものを発揮することを誓った。
「ヨーロッパでやるのか、鹿島に戻るのかをずっと考えながら、悩んだりもしました」という三竿は、今季のチームを引っ張っているFW鈴木優磨やDF安西幸輝にも相談をして「自分のその時の感情は連絡して伝えたりもしていました」と明かした。「特に幸輝くんには『まだ帰ってくるな』と言われていたのですが、僕の人生なので。僕のやりたいようにやろうと思って決断しました」と、最終的には自身で鹿島復帰の決断をしたと説明した。
復帰の決め手になったことについて、三竿は「すごく自分のことを必要としてくれたこと。この鹿島に今帰ってきてプレーすることが、自分が成長し続けるために必要なことだなと自分のなかで結論に至りました。また、自分を必要としてくれているクラブのためにプレーしたい気持ちも強くなった」と、コメントしている。Jリーグの登録が無事に終われば、週末のFC東京戦からJリーグのピッチに立つことが可能になるが、三竿の鹿島での第2章は、どのようなものとなっていくだろうか。
(河合 拓 / Taku Kawai)