OA議論で「選手は悔しいもの」 本田、長友らと18人で奮闘、北京組語る“起用なし”の経験値
北京五輪代表GK西川周作が回想、23歳以下の年代だけで臨むことの良さ
パリ五輪に臨むU-23日本代表は、23歳以上の「オーバーエイジ(OA)」選手を起用せずに大会に臨むことが決まった。これは2008年の北京五輪以来のことになるが、その当時に五輪に出場した浦和レッズのGK西川周作は「結果がどうであれ、五輪の舞台を経験できるのは大きい」として、本来の23歳以下の年代だけで臨むことの良さを話した。
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西川は大分トリニータ所属当時に北京五輪へ出場。同年代のDF長友佑都やMF本田圭佑らのメンバーとともに同世代だけで戦った。当時もオーバーエイジの必要性が議論されていたが、西川は「自分たちは『できる』と思っているもので、(オーバーエイジが)必要だと言われるのは特にそのポジションの選手は悔しいもの。でも、奮い立つ部分があると思うし、団結力は生まれやすい。それをポジティブに捉えられる選手が代表チームに選ばれていると思う」と話す。
そして「本大会だけ(オーバーエイジの選手が)来る難しさもあると思う。相手を知る時間もない」として、2016年のリオ五輪にオーバーエイジで出場した浦和の同僚FW興梠慎三は、参加した当時のことを「ものすごいプレッシャーだった」と話していたという。
この北京五輪世代の選手たちは、イタリア・セリエAの名門インテルでプレーした長友、同ACミランでプレーした本田だけでなく、日本代表のキャプテンを務めたDF吉田麻也やMF香川真司、すでに現役引退した内田篤人氏、岡崎慎司氏、李忠成氏といった海外クラブで活躍し、A代表でもワールドカップ(W杯)やアジアカップで印象的な活躍をした選手たちが多い。西川も含め、その後の日本サッカー界に残した足跡という点ではかなりの世代と言えるだろう。一方で、北京五輪での成績はグループリーグで3戦全敗の敗退を喫していた。
西川は「みんなが世界に羽ばたいていったけど、結果がどうであれ、五輪の舞台を経験できるのは大きい。その後の財産になる」として、「選手としては、その年代の選手たちで戦いたいと思う。どこまで通用するか、その時にしか分からないものもある。通用しなかったらしなかったで、もっとやらなきゃいけないんだと思える」と、23歳以下で五輪を迎える世代の選手たちの気持ちを過去の経験による実感と合わせて推し量った。
前回の東京五輪は自国開催という点もあり欧州の各クラブも協力的な姿勢を見せてくれる面があったが、今回のパリ五輪はかなり厳しかったことを山本昌邦ナショナルチーム・ダイレクターはメンバー発表会見で話した。しかし、東京五輪の時が特別だったのであって、今回のような状態がスタンダードであり今後もそうなるだろう。
これまでの日本サッカー界でオーバーエイジを活用しなかった、あるいはできなかった北京五輪を経験したメンバーのその後の活躍や成長からも、この世代の選手たちが注目を浴びる舞台で全力を尽くすことの意義を重視することも1つの強化につながるのではないだろうか。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)