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三浦カズ、JFL復帰戦で孤立「ダメですね」 57歳139日…シュート0本で滲む落胆の色
アトレチコ鈴鹿に復帰後、初めてのリーグ戦で途中出場
JFLアトレチコ鈴鹿に復帰した57歳FWカズこと三浦知良が7月14日、602日ぶりに日本の公式戦ピッチに立った。出場が可能となって初めてのリーグ戦、ホーム三交鈴鹿で行われたヴェルスパ大分戦の後半17分に交代出場。22年シーズン最終戦の11月20日以来のリーグ戦出場で自らの最年長出場記録を57歳139日に伸ばしたが、最前線で孤立して見せ場を作ることはできず。試合も0-1で敗れて、復帰戦を飾ることはできなかった。
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カズにとっては、不満の残る試合だった。後半14分に先制点を決められた直後に出場したが、最前線で孤立。いい形でボールを受けることもできずに「チャンスが作れなかった。チームとして何もできなかった」と振り返った。
ゴールへの執念、闘志は見せた。終了7分前には左クロスに頭から飛び込んだ。スタンドを沸かせたが、直前で相手GKがパンチングでクリア。「崩して作ったチャンスではないし、ダメですね」と淡々と話した。
前節でHonda FC相手に好ゲームを展開した鈴鹿だが、この日は好守ともにちぐはぐだった。点差こそ1点差だったが、内容は完敗。関東学院大から今季加入したGK出口貴也が好セーブを連発しなければ、大量失点の可能性もあった。ミドルシュートがポストを叩く場面はあったものの、シュート数でも22本対7本と圧倒された。
カズの復帰戦に、雨の中1039人のファンが集まり、60人もの報道陣も集結した。カズにとって三交鈴鹿は22年11月12日、鈴鹿ポイントゲッターズ時代のJFL最終戦でゴールを決め、カズダンスを踊った場所。スタンドとピッチが誓う「この雰囲気が好き」と話し、ゴールを目指していた。
しかし、アディショナルタイムを含めて30分以上プレーしたが、見せ場を作ることはできずにシュートも0。移籍会見では「ベテランらしくないプレーをしたい」と積極的に相手DFと勝負する意気込みを口にしていたが「そこまでいかなかった」と話した。
カズ自身の出来も今ひとつだったが、それ以上にチームの攻撃が機能しなかった。「90分間良くなかった。意図を持った攻撃がなく、自分たちのリズムが作れなかった。何もないまま終わった」と復帰戦に意欲を見せていたカズは落胆の表情を見せた。
もっとも、リーグ戦はこの日で折り返し。鈴鹿は黒星で16チーム中10位に転落したが、残るは15試合ある。「少しでも上に行けるように、勝つことが大事」とカズ。「次の試合のために、いい準備をする」とも話した。
JFLは次節(20、21日)を最後に、5週間という長期の「サマーブレイク」に突入。カズの復帰とともに7月1日に就任した朴康造監督のサッカーがチームに浸透するのも、9月以降か。鈴鹿の分厚い攻撃が機能すれば、最前線でのプレーに専念するカズのゴールも生まれそうだ。
(荻島弘一/ Hirokazu Ogishima)
荻島弘一
おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。