不気味な中国の帰化選手たち…対日本の秘密兵器に? 現地記者が名指し「大きな力を発揮する」

帰化選手の活躍に期待がかかっている【写真:Getty Images】
帰化選手の活躍に期待がかかっている【写真:Getty Images】

前回のW杯予選とは異なり、中国も国内での予選開催で好材料

 2026年の北中米ワールドカップ(W杯)のアジア3次予選(最終予選)で、日本は前回のカタールW杯アジア最終予選の時と同じく中国と同組になった。

 2022年予選の時、中国は新型コロナウイルスの影響から国内で試合をすることができなかった。日本との試合はドーハ、そのほかの試合はアラブ首長国連邦(UAE)で開催され、6チーム中5位で予選を終えている。

 今回は中国国内で予選が開催されるだろう。その分、中国には好材料が増えるのではないだろうか。中国初のUEFA(欧州サッカー連盟)とAFC(アジアサッカー連盟)の公式登録フリーランス・ジャーナリストで、今年のアジアカップを取材しており、現在は北京国安サッカークラブのメディアマネージャーを務める、ザック氏ことザン・チェン氏は自信を見せる。

「北京を含め、多くの都市やスタジアムがすでに開催に乗り出している。前回、北京でサッカーのビッグゲームが開催されたことを覚えているだろうか。2004年のアジアカップだ。だから、この例を示して、私たちがいかにホームゲームを真剣に考えているかを強調したい。

 北京を例にとると、過去2年間で、北京国安のホームゲーム平均観客動員数は2023年に4万4000人に達し、今シーズンは4万8000人に増加した(現在は8試合のみ、まだ7試合残っている)。ほかの都市でも同じような光景が見られる。間違いなく、ホームゲームとファンは中国チームと中国サッカー界にさらなる情熱を与えるだろう。ここ数年、いくつかの事情により、私たちは本来の豊かさを失ってしまった」

 2010年代、中国サッカー界には多くの資本が流れ込み、「爆買い」で数多くの有名監督や有名選手がリーグにやってきて栄華を誇った。だが、2010年代終盤に政府が景気過熱に対して引き締めを図るとサッカーバブルも崩壊した。だが、それでも観客動員数を考えると、中国サッカー界を侮ることはできない。

日本は「中国にとって常に学ぶ価値のある相手」

 そして、日本が完璧ではないということも知られている。今年のアジアカップでの戦いぶりは彼らも分析するだろう。アジアカップを見てどう考えたかを聞くと、不気味な答えが返ってきた。

「アジアカップで日本はいいパフォーマンスを見せられなかった。私も遠藤航にディフェンスラインとその連係について聞いた時、彼は『脆弱』という言葉を使った。しかし、中国に帰ってきて試合を思い出すと、別の考えが浮かんできた。もしかしたら、チームの目標はすでにヨーロッパやアメリカのチームを倒すことにシフトしているかもしれないし、チームの戦術プレーもヨーロッパのチーム向けにカスタマイズされたものにアップデートされ始めているかもしれない。したがって、今後ドイツ、スペイン、メキシコに勝つ可能性は高くなるが、アジアのチームとの対戦ではコントロールを失うかもしれない」

 確かにザック氏の言うとおりだろう。日本は本大会でどうやって勝つかに焦点を当ててきた。だがアジアカップで明らかになったのは、アジアも楽々と勝ち進めるわけではないということだ。

 一方で、ザック氏は日本に対してこんな意見も持っていた。

「日本は中国にとって常に学ぶ価値のある相手だ。私たちは似たような文化と理解を共有していると思う。もし日本がアジアでトップクラスのチームになり、ヨーロッパ勢と拮抗した試合をすることができれば、中国チームもそれを達成することができるだろう。私たちは謙虚に、そして熱心に、あなたたちから学ばなければなりません。日本人選手が目指しているのは、ほとんどがヨーロッパのリーグだと思う。クラブでも代表チームでも、機能的なチームワークを持つ選手として自分自身を形成することが新しいミッションになる。日本代表の戦術は以前よりも方向性が定まり、アグレッシブになっている」

 この言葉をすべて鵜呑みにして、なめてかかると痛い目に合うのは間違いない。特に初戦で対戦する相手であるため、3次予選ではどんな戦いを仕掛けてくるのか、推測しながら戦わなければならない。そこで9月5日に迫っている3次予選、埼玉スタジアム2002での中国戦に向けて、帰化選手も不気味な存在になっている中国の戦力についても聞いてみた。

「上海申花のDFジャン・シェンロンが次世代の有力選手の1人だと思う。またウー・レイのパフォーマンスは、代表チームの将来性を左右する重要な要素になるはずだ。天津のバ・ドゥン、山東のウー・シンハンも予想外のサプライズかもしれない。なぜなら、彼らはここ2年間、リーグ戦で本当にいいプレーをしているからだ。

 もちろん、私は北京国安の選手たちに大きな期待と信頼を寄せている。北京国安には過去15年間、多くの代表選手がいた。しかし、彼らは年長者になり、代表チームでの地位を失ってしまった。だが、もしチームが彼らに明確な戦術的役割を与えることができれば、彼らは大きな力を発揮するだろう。さらに、帰化選手もチームに加わっているようだ。長春のセルジーニョ、滄州のオスカル、楽しみにしているよ」

(森雅史 / Masafumi Mori)

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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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