「EURO見たらまだまだ」 Jリーグ判定で欧州と”差”指摘…VAR介入精度「悪くはない」と評価
JFA審判委員会によるメディアブリーフィングを実施
日本サッカー協会(JFA)は7月10日に審判委員会によるメディアブリーフィングを実施。今回はJ1が半数の試合を終えたタイミングとなり、キー・インシデント(KI)と呼ばれる試合に与える影響の大きな判定の確率などデータ面での説明が行われた。
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JFA審判マネジャーの佐藤隆治氏が、KIを「PKやレッドカードなど、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)介入になるかどうかのものや、2枚目の警告を出すかどうかのもの。日本以外でもデータを取っている」と説明した。そのうえで、今季のJ1第19節(全38節中の半分)までのデータを公開した。
そこでは、「正しい(その他を含む)67件、誤り36件、合計103件、判定率65%。その他には判別するのに必要な映像がないものも含む」というデータが公開され、誤りのうち8件は正しい判定をピッチ上で下すことが期待されたもの、難しい判断が25件、非常に難しい判断(通常のレフェリーの立ち位置などから厳しいもの)が3件だったと佐藤マネジャーが説明した。そのため、KIに限定しての誤った判定の割合は5.28試合に1つ起こっているとした。
このKIと呼ばれる場面の判定率は昨季が52.3%で割合が4.31試合に1回だっただけに、佐藤マネジャーは「昨年比で(正しい判定の率が)高まっていることはポジティブに捉えている」とした一方で、「ただし、65%では満足していない。非常に良い数字とは思わない。もちろんPKを取ってもらえなかったチームなどからすると不満もあるだろう。VARは保険であり、ピッチ上で一発で判定をしにいく部分を突き詰めるのが大原則」と総括した。
数値目標として、次は「70%」を口にした佐藤マネジャーは、「まずは期待された判断を正確にすること。そして、難しい判断も少しでも誤りを減らすこと」と話し、難易度が低い判断のミスから改善していくことを課題に挙げた。
また、主に単純なオフサイドの場面でのオンリーレビュー、主審が映像を確認するオンフィールド・レビューを合わせたVARの介入は2.9試合に1回程度だったとして、昨季比では割合は変わらず。参考として今年1月のアジアカップでは1.16試合に1回、昨季のイングランド・プレミアリーグでは3.4試合に1回だったとされ、佐藤マネジャーはリーグ前半戦のVARについて「介入の精度は、今のところ悪くない」と話した。
扇谷健司審判委員長は、開催中の欧州選手権(EURO)ではグループリーグ36試合でオンフィールド・レビューが8回だったことにも触れ、ピッチ上の判定の精度という点で「EURO見たらまだまだだと感じる」と話したものの、「でも、いつかあのレベルにいけるレフェリーたちだと信じている」と現在のJリーグ担当審判員への信頼を話していた。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)