クラブと代表で「軸」が違う 日本サッカー森保監督がEURO視察で実感「突き詰めてはやらない」
森保監督がドイツ対スペインの試合を視察
日本代表の森保一監督が7月8日、ドイツで開催されているEURO(欧州選手権)の視察を終えて帰国した。準々決勝のドイツ対スペインを含め、10試合を現地で視察した指揮官は、2022年カタールワールドカップ(W杯)で日本とも対戦した両国の試合から、最終予選の戦いに生かせると感じたことがあったようだ。
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印象に残った試合の1つとして、スペインが2-1で勝利したドイツとの試合を挙げた森保監督。カタールW杯で日本とも対戦した両国は当時と戦い方も変わっているが、それについては「監督が代わっているので。選手起用も違いますし」と、当然のことと受け止めつつ、それぞれの国について感じたことを続けた。
「スペインはやはりA代表から育成カテゴリーまで、同じ絵を描いてサッカーをできる。戦術の選択肢のなかで、選択肢が多いので、そこは判断になっているところは感じましたし、そのプレーモデルがすごく大切だなと感じました。ドイツは、フィジカル的にまずはこれまでも大切にしている局面局面で勝っていって、主導権を握る部分と(ユリアン・)ナーゲルスマン監督が戦術的にディフェンスの部分と攻撃の部分をどう動かすかというところの選手のローテーションであったり、ポジショニングであったりを細かく詰めながら、まとまっているなと思いました」
そして「ただ、本当にクラブのように細かくやっているかと言うと、それはやはり代表ではそこまでは突き詰めてはやらないんだなというのは、スペイン対ドイツ戦で感じましたし、私が(現場で)見た10試合のEUROとTVで見たEUROでは感じました。チーム作りに与えられる時間のなかで、ほとんどのチームはシンプルに、オーソドックスに戦うところを軸にしているなと感じるところがありました」と、選手が集まれる時間が限られているチーム作りの方向性で、確認できたことがあったと強調した。
これは9月から始まる最終予選に向けても生きるものだと、森保監督は語った。「選手の招集人数が23人であったり、26人であったりしますが、全員が違うクラブから招集させてもらう代表チームでは、26通り、23通りの戦術のなかで選手たちは日頃戦っています。そのなかで何をベースにするのかは、もちろん日本人選手に合った事、チームに合った事を、戦術的にいろんなプランを持たなければいけませんが、シンプルにベースを持っておくところ。そこは試合までに準備できる時間が少ない、あるいは練習の時間がないなかで試合をしなければいけないなかで、どうやってチームにいる選手たちが戦術を選んでくれるかは、EUROを見させてもらって感じたところです」と、どこまでをチームとして準備して、どこまでを選手に委ねるかのラインが見えたと話している。
欧州組が増え、チームとしての活動時間も制限される日本代表だが、欧州の強豪の戦いぶりを見て、森保監督には大いに参考になったようだ。
(河合 拓 / Taku Kawai)