浦和が目指すべき“大人のチーム” 終盤失点→逆転負けを喫した「2つの要因」…指揮官「学ばないと」
ヘグモ監督「締め方の教訓として学ばないと」
浦和レッズは7月6日のJリーグ第22節で湘南ベルマーレをホームに迎え撃ち、2-3の逆転負けを喫した。後半45分までリードしていたゲームを落とした要因には、「ゲームコントロール」と「ファウルの使い方」いうキーワードがあった。
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キックオフ前に雷雨を伴う荒天で30分遅れの開始となるアクシデントがあったものの、水たまりなどの問題を抱えることなく無事にキックオフされた。立ち上がりこそボールが速く動く環境にワンタッチ目に気を使っている感があったが、徐々にペースを奪い直した。しかし、自陣でのちょっとしたミスを起点に失点し、0-1でハーフタイムを迎えた。
一方で、後半に入ってからの浦和のリアクションは悪いものではなかった。まずはハーフタイム明けにこの日の登録メンバー中、唯一起用可能だったウイングプレーヤーのFW前田直輝を入れた。MF伊藤敦樹のクロスに対して相手の前に入って合わせようとしたFWブライアン・リンセンが背後から抱え込んで倒されたにもかかわらずノーファウルという場面もあったが、後半14分にはMFサミュエル・グスタフソンとFWチアゴ・サンタナを投入した。
すると2分後にパスワークからサンタナが同点弾を決め、勢いに乗った浦和は後半29分、MF渡邊凌磨が敵陣中央をドリブルで持ち上がりサンタナへラストパス。これを受けたサンタナがGKソン・ボムグンとの1対1で冷静に蹴り込んで2-1と逆転に成功した。
しかし、ここからの時間帯をどう過ごすべきかというところで、浦和は正直すぎた。反撃に出たい湘南に付き合うような展開を受け入れてしまったが、サンタナは「自分たちで2対1で勝っている状況だった時に、ゲームを支配していた方が良かったし、コントロールした方が良かった。逆に自分たちがスピードアップして前に出て、その結果で負けてしまったと思う」と話す。
そして「ファウルすることも必要だと思うし、逆にボールを持ったり、自分たちがファウルをもらったり。自分たちが試合の状況を読めなければいけないし、どういうことが起きているか自分たちで理解しないといけない。今日はリーグ戦の試合だったけど、もし決勝戦だったら優勝できなかったという結果になった。そこはまだまだ足りないと思う」とも話した。
ペア・マティアス・ヘグモ監督も「この試合の最後の5分、6分、試合の締め方の教訓として学ばないといけない。1対1の場面では、命を懸けて戦わないといけない。最悪の場合、相手にフリーキックを与えてでも止めないといけない」と指摘した。
同点ゴールの場面は全体のプレー選択も中途半端になり、最終的にGK西川周作から前田へのフィードで湘南DF畑大雅にカットされたところから相手の攻撃が始まったが、前田が畑を倒してしまえばそれで済んだ部分があるだろう。ヘグモ監督は次の展開で「佐藤瑶大が残ってスペースをカバーすればよかったところを前に出てしまい、相手がフリーになってしまった」と話したが、佐藤もドリブルで切り込む相手に前へ入られる瞬間に体を引くアクションがあった。どちらも1点差で勝っているチームの残り数分であれば、イエローカードを受け入れて潰すべき場面だろう。
この試合もトータルして見れば良いものがあった時間は少なからずあった。ただ、常に一様であるとかアベレージの高さだけでは決まらないのが対戦型ゲームの面白さであり難しいところ。前向きなエネルギーを感じさせる試合が増えてきた浦和だが、試合の中での抑揚や勝負所でのシビアさといった大人のチームになっていくために身につけるべきことがあるのが現れたゲームだったと言えそうだ。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)