五輪選外は「絶対悔しい」 OAなし北京大会経験の先輩が察する胸中「どこに力を向けるのか」

北京五輪を経験したFC東京の森重真人【写真:徳原隆元】
北京五輪を経験したFC東京の森重真人【写真:徳原隆元】

2008年の北京を経験した森重真人が当時を回想

 大岩剛監督率いるU-23日本代表は7月3日、パリ五輪の日本代表メンバー18名を発表した。「さまざまな制約」(大岩監督)があったこともあり、2008年の北京五輪以来、オーバーエイジ(OA)の選手を起用せずに大会に臨むことになった。

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 FC東京のDF森重真人は、U-23日本代表として北京五輪を経験した18人のうちの1人だ。このチームには現在も森重とチームメイトのDF長友佑都をはじめ、DF吉田麻也(LAギャラクシー)、DF内田篤人、MF本田圭佑、MF香川真司(セレッソ大阪)、FW岡崎慎司と長らく海外でキャリアを重ね、フル代表でも中心選手として君臨した選手たちが名を連ねている。

 OAの選手たちは、チームに経験をもたらしてくれる。だが、OAを呼ばなかったチームにもメリットはあると森重は言う。北京五輪のチームを振り返り、「一体感はすごくあったかなと思います。ソリさん(反町康治監督)を含めて、みんなでいい集団としてまとまって行けたかなと思います」と、語った。

 北京五輪は、結果的に3戦全敗に終わったが森重は「やっぱり、その時は自信もあったし、『このメンバーで世界へ向けて挑戦するんだ』っていう熱い気持ちの強い選手が揃っていました。そんなみんなで戦えて、結果は残念だったんですけど、この年代の選手たちがその後に世界で活躍したっていうのは、悔しい思いをしたこの大会があったからかなと思います」と、その経験がそれぞれのキャリアに大きく影響したと振り返った。

 FC東京からは、MF荒木遼太郎とGK野澤大志ブランドンがパリ五輪の18名に選出されたが、直前のアメリカ遠征に選ばれたMF松木玖生とDFバングーナガンデ佳史扶の2人は最終メンバーから外れた。そのアメリカ遠征での負傷で別メニュー調整を続けるバングーナガンデに、この日、森重は声をかけていたという。

「さっき佳史扶にも話したんですけど、オリンピックは選ばれようが、選ばれまいが通過点に過ぎない。そのあとのほうがやっぱり大事だし、そこからA代表の選手が生まれてくるべきだと思うので。それが1つ分岐点かなと思います」

 全体練習には姿を見せていなかったバングーナガンデが、落ち込んでいた様子だったかと聞くと、森重は「そんなに見せないですけど、絶対に悔しいと思う。もちろん怪我があったからっていうのはあるけれど、怪我をした時点で悔しかったと思う。いろんな思いが、あの年代はあると思う。それをどこに力を向けるのかが、やっぱり今後、自分がどこまでいけるかっていうところに関わってくるかなと思います」と、選ばれた選手たちはもちろん、選ばれなかった同年代の選手たちも、落選という経験をどう生かすかが重要だと語った。

 実際、北京五輪の年代にもDF槙野智章、MF青山敏弘(サンフレッチェ広島)、MF家長昭博(川崎フロンターレ)、FW興梠慎三(浦和レッズ)と、本大会のメンバーから漏れたものの日本サッカー界を代表するような存在になった選手たちもいる。今回、世代別で戦える最後の世界大会の出場を逃し、悔しい思いをすることになった松木やバングーナガンデが、今回の経験をまだまだ続くであろうキャリアにポジティブに生かすことを、森重は強く期待しているはずだ。

(河合 拓 / Taku Kawai)



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