松木玖生、衝撃のメンバー落選に見えた時代の変化 五輪よりも重要な個々のステップアップ
山本NDがメンバー発表の記者会見で松木の選考について言及
日本サッカー協会(JFA)は7月3日、パリ五輪に出場するU-23日本代表メンバー18人を発表した。注目されていたオーバーエイジ枠は使われなかったが、これまでチームの中核を担っていたMF松木玖生の落選も大きな衝撃を与えた。
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記者会見で松木について問われた大岩剛監督は、「今回選ばれた選手たちの話をぜひさせていただきたい」と落選の理由を語らず。負傷やコンディション不良の影響かという問いにも「選ばれていない選手に対してのコメントは避けたい。ただ、彼のコンディションに問題があるという理由ではない。そのことだけは伝えさせていただきたい」と、答えるにとどまった。
その後、山本昌邦ナショナルチームダイレクター(ND)が、「移籍の可能性があります。そのなかで先ほど申し上げた五輪の期間に、我々が招集できる確約が取れなかった。そこが一番の要因です」と説明。今夏にも欧州移籍をする可能性のある松木が、五輪期間中にフルで参戦できない可能性があることが最大の要因だったと明言している。
とすれば、松木自身も、すでにパリ五輪の出場が困難なことは把握していたのだろう。6月30日のJ1リーグ第21節アビスパ福岡戦後(0-1)のミックスゾーンで、松木は五輪前最後の試合だったが「自分で決められるわけじゃないんで。しっかり待って、選ばれるか、選ばれないか。待ちたいなと思います」と、淡々と話していた。
日本人の欧州移籍が当たり前ではなかった頃であれば、五輪出場は選手にとっても悲願だったはず。だが、時代は変わった。欧州で日本人選手が当たり前のように活躍している今、「五輪出場」はキャリアでなんとしても達成したいこと、というよりも通過点であり、欧州移籍をしてステップアップし、フル代表に入ることのほうがプライオリティーは高いはずだ。
U-23アジアカップでは副キャプテンを務めた松木にとっても、この移籍市場で次のクラブと契約を結ぶために大会途中に離脱してチームに迷惑をかける可能性があるなか、五輪に参加することになるのは不本意な点もあっただろう。
U-23アジアカップが終わってから、松木は五輪出場権獲得を喜びつつも「目に見える結果を残していきたい」と、よりゴールに絡める選手になることを宣言していた。チームに復帰した13節柏レイソル戦(3-3)では有言実行のスーパーボレーを決めている。
ここからゴールは挙げられず、直近の福岡戦後には「もちろん毎試合得点を狙っていますし、自分以外の選手も特に攻撃陣はあまり最近、点数を取れていない。ディフェンスラインの選手が取ったりしているので、自分も含めて練習から集中したい」と、引き続き、得点に絡める選手になっていく決意を述べていた。
パリ五輪に出場できない悔しさはあるだろうが、それを理由に松木が選手としてのステップアップを止めることはないはずだ。
(FOOTBALL ZONE編集部)