浦和が見せたマイボールの質と即時奪回 若返りで強度アップ…キーワードは「一歩の寄せ」
酒井宏樹、ショルツ、岩尾憲らが退団
浦和レッズは6月30日のJ1リーグ第21節でジュビロ磐田をホームに迎え撃ち3-0の勝利を飾った。チームを取り巻く状況とは別に、ピッチ上では激しいカウンタープレスや相手のポストプレーを許さない高い強度のサッカーが際立った。
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浦和はここ1週間で主将のDF酒井宏樹、DFアレクサンダー・ショルツ、MF岩尾憲の退団が発表された。岩尾はすでに移籍先であり古巣の徳島ヴォルティスに合流しているが、海外移籍が前提の酒井とショルツはこのゲームの後に退団の挨拶を行う予定で試合が始まった。それだけに、否が応でも今後の戦いへの試金石という趣があるゲームになった。
そのゲームは序盤から浦和が全体的にボールを持ったが、それだけでなくボールを失ったあとに次々に前線の選手が襲い掛かるようにして奪還する姿が際立った。そして、磐田が長身のFWジャーメイン良とFWマテウス・ペイショットを目掛けてロングボールを入れると、DF佐藤瑶大とDFマリウス・ホイブラーテンが強烈な圧力をかけて潰した。さらに、MF安居海渡が挟み込むようにカバーして磐田の看板アタッカーたちにボールをキープさせなかった。
ペア・マティアス・ヘグモ監督は試合後に「自分たちが攻撃を仕掛けているときにリスクマネージメントをして、磐田のカウンターアタックを封じることができたと思う。安居が相手のトップ下をしっかり捕まえ、マリウスと佐藤で相手のストライカーをしっかり捕まえた。相手のストライカーとトップ下が彼らにとってオプションではない状況を作れた。唯一の逃げ道がGKへのバックパスだったが、そこでロングボールを蹴らせて回収することができた」と話す。
さらに指揮官は「自分たちが焦れずにプレーすることで形が崩れていなかったので、ボールを失った時も周りに自分たちの選手がたくさんいる状況を作ることができた。今までの試合では、ボールホルダーの近くまで行くが待ってしまう場面があった。本日の試合ではしっかりタイトに寄せようという話をした」と、攻撃時のバランスが良かったことが切り替えのタイミングにつながった部分や、「あと一歩の寄せ」を厳しく要求したことを話している。
この試合でキャプテンマークを巻いたMF伊藤敦樹は「切り替えの所も(前節の)名古屋グランパス戦が終わってからのミーティングで要求されていた。そこはみんなが意識していたことの1つだったと思う。前半から良かったし、後半もあの切り替えがあって相手のカウンターがほとんどなかったので、落とさずにやろうと声掛けもした。みんながその意識を強く持っていたので、そこは良い意識付けができていた。それは継続して強度を落とさずにやっていきたい」と話した。
このゲームは6月26日の名古屋戦から中3日でスタメンも全員が継続だった。それに加え試合中に雨も降り続く蒸し暑い環境でこれだけのプレーを90分できたことは、今後に迎える夏場のゲームを乗り切るうえでの自信にもなるだろう。伊藤は「これから夏場に入るけど、今日の切り替えや強度の高さを維持し続ければ必然と結果がついてくると思う。今日できていたことをみんな一回振り返って、継続できるようにやれれば良い」と手応えを話した。
30代に入った実績と経験のある主力の退団は痛いものだが、結果的に若返りが進んだとも捉えられる。この日の浦和が見せたマイボールの質と即時奪回、ロングボールへの対応は今までとは違う強さを感じさせるものになっていた。