戸惑いを見せながらも…「ルールが変わっていて」 主将に就任、浦和生え抜きMFが得た信頼
伊藤は1得点2アシストの活躍
浦和レッズのMF伊藤敦樹は、6月30日のJ1リーグ第21節でジュビロ磐田をホームに迎え撃ったゲームで1得点2アシストの活躍を見せ3-0の勝利を導いた。主将のDF酒井宏樹ら30代の主力が相次いで退団するなかで、キャプテンマークを巻いた下部組織育ちの大型MFが次世代リーダーとしての風格を見せつけた。
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浦和はここ1週間で主将の酒井、DFアレクサンダー・ショルツ、MF岩尾憲の退団が発表された。岩尾はすでに移籍先であり古巣の徳島ヴォルティスに合流していたが、海外移籍が前提の酒井とショルツはこのゲームの後に退団の挨拶を行う予定で試合が始まった。
また、この日がイタリア1部ASローマから期限付き移籍の契約最終日になるノルウェー代表FWオラ・ソルバッケンもスタメンに名を連ねた。結果的に、ソルバッケンもまた試合後に期限付き移籍期間満了での退団が発表される。
そうしたなかで、伊藤のパフォーマンスは圧巻だった。前半21分、左45度付近でMF渡邊凌磨がボールキープすると伊藤が回り込んで追い越した。渡邊のパスを受けた伊藤が左足でファーサイドにクロスを上げると、逆サイドから攻撃参加してきたDF石原広教がヘディングで叩いて決めた。
後半7分には石原がボールを持つと、サイドに開いたソルバッケンに磐田の守備陣が引き付けられたところで伊藤が内側を一気に抜けてパスを受けた。そして、中央への折り返しを渡邊が右足ボレーで叩き込んだ。さらに後半29分、左サイドの突破からDF大畑歩夢がラストパスを入れると、走り込んできた伊藤が右足シュートを決めた。ゴールラッシュの中心には伊藤が君臨していた。
浦和で幼少期を過ごしチームを応援していた少年が下部組織に入り、流通経済大学を経て2021年にトップチームへ加入した。その流経大4年時以来というゲームキャプテンに伊藤は「コイントスのルールが変わっていて戸惑った(陣地だけでなくキックオフも選べるようになった)」と笑ったが、「毎試合、責任を持ってプレーしているつもりだけど、ゲームキャプテンを任されてキャプテンマークの重みを感じながらプレーした。それがいい方向にいってくれた」と話す。
大畑やMF武田英寿はいわゆるパリ五輪世代であり、30代に入ってきていた退団3選手が出場していたポジションでプレーしたのは石原、DF佐藤瑶大、MF安居海渡といった25歳前後の世代。それだけに「前の試合からだいぶ若返って、今まで引っ張ってきた選手が抜けた中で上手くまとまっていると思うし、みんなが同じ方向を向いてやっているのは大きい」と8月に26歳になる世代の伊藤はチームの雰囲気を話した。
先日にはGK西川周作が次世代のリーダーとして期待する存在として伊藤に言及。また、ペア・マティアス・ヘグモ監督は試合後会見で酒井退団後について「キャプテンと副キャプテンは明日に正式にアナウンスする」と話していた。その言葉通りクラブは、7月1日に新たな主将、副キャプテンを公式発表。伊藤が新主将、副キャプテンには西川が就任することになった。
伊藤は「自分がそういう立場になってきているのは感じていたし、そうやって任せられなくても(酒井)宏樹君だったり、ショルツ、(岩尾)憲君とリーダー的な存在が一気に抜けてしまったので、自分が引っ張っていかないといけないと思っていた。そういった中でゲームキャプテンに指名されて、よりやらなければという思いは強まった」と話した。
ソルバッケンも合わせれば主力級4人が退団する事態になった浦和だが、新たなリーダーとしての思いが表現されたかのような伊藤の活躍ぶりはチームが新たなフェーズに入ったことも印象付けるものになった。