25歳で転機到来「レッズ断る理由ないと思った」 浦和で序列上昇…待望プロ初弾「一員になれた」
浦和DF石原広教が磐田戦でプロキャリア初ゴール、3-0勝利に貢献
浦和レッズのDF石原広教は、6月30日のJ1第21節でジュビロ磐田をホームに迎え撃った試合の先制点を決めた。これがプロキャリアの初ゴールとなり、主将のDF酒井宏樹が退団の挨拶をしたゲームで存在感を大いに発揮した。
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浦和はここ1週間で主将のDF酒井宏樹、DFアレクサンダー・ショルツ、MF岩尾憲の退団が発表された。岩尾はすでに移籍先であり古巣の徳島ヴォルティスに合流しているが、海外移籍が前提の酒井とショルツはこのゲームの後に退団の挨拶を行う予定で試合が始まった。
25歳の石原は湘南ベルマーレの下部組織で育ち、トップ昇格。1年間アビスパ福岡へ期限付き移籍の時期を含め8シーズンのキャリアを積んできた。そして、今季は浦和からの獲得オファーに対して「湘南で17年間育ってきたが、オファーをいただいたとき、レッズを断る理由はないと思った」と移籍を決断。そして「偉大な先輩たちを越えて、脅かしていけるような存在になれるように」という思いで加入した。
その偉大な先輩こそ酒井だった。欧州で9シーズンのキャリアを持ち、フランスの名門マルセイユでも不動の存在。五輪やワールドカップ(W杯)でも日本代表の右サイドバックとしてプレーしてきた。石原は「(酒井)宏樹君がいるからこのチームに入ってきた部分もある」と、浦和加入の理由にもなったと話す。
始動当初は紅白戦にもなかなか入れなかった石原だが、1つ1つ確実にチーム内での立場を上げていった。そして、4月上旬に酒井が負傷離脱したタイミングでポジションを掴むと、実直かつ気持ちのこもったプレーを続けた。4月28日の名古屋グランパス戦では、こぼれ球の競り合いに身体ごと突っ込んでいったプレーも話題になった。直後の公開練習ではチームメイトから「突進するなよ」とイジられる場面もあったが、こうやって少しずつ信頼を掴んでいった面もあるだろう。
その結果、酒井が復帰してもポジションを明け渡さなかった。酒井のコンディションやキャリアがどのような形になっていたにせよ、酒井が移籍したから試合に出られるという流れではなく、自らの力で浦和での地位を勝ち取った部分が大いにあると言えるだろう。
退団の挨拶をした酒井からは試合後「ナイス」の声
そしてこの試合の前半21分、左45度付近でMF渡邊凌磨がボールキープするとMF伊藤敦樹が追い越した。渡邊のパスを受けた伊藤が左足でファーサイドにクロスを上げると、逆サイドから攻撃参加してきたDF石原広教がヘディングで叩いてゴールした。意外にも、これがプロキャリアで初ゴールだった。そして、浦和のJ1通算1600ゴールの節目にもなった。
石原は「敦樹のボールが完璧だった。何も思わず、ただただ入っていってヘディングしたのが良かった。レッズと言うビッグクラブで1つ歴史に名を刻めたのは嬉しい。レッズの一員になれたんだと感じる」と話し、初ゴールに関しては「もっと早く取れたら良かったとは思いましたけど」と笑顔だった。
酒井からは試合後、このゴールについて「ナイス」という声もかけられたと話し、「今日のゴールは宏樹君も決めてきたようなもの。練習中もそういう姿を見てやってきた。このチームに来て本当に良かった。一緒にいる時は良くなかった部分も指摘してくれた。鹿島戦の失点のところも教えてくれたし、ミスをミスにしないことを教えてくれた」と感謝の言葉を残した。
今年2月に25歳になった石原は中核を担うべき世代の1人。酒井やショルツの退団を踏まえ「不安に思う人もいると思うけど、すごくいい選手がたくさんいる。もっと上回っていくつもりで責任感と覚悟を持ってやっていけばいい」と、決意を示していた。