6戦ぶり先発は「前半でほぼ出し切った」 パリ五輪世代MFが示した「五輪を考えない」覚悟
東京Vの山田楓喜が横浜FM戦で後半10分までプレー
東京ヴェルディは6月29日のJ1リーグ第21節で横浜F・マリノスに2-1で勝利し、開幕戦の借りを返した。この試合では、U-23アジアカップから帰国後、休養を与えられていたMF山田楓喜がリーグ戦6試合ぶりに先発出場を果たしていた。
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1週間前のJ1第19節名古屋グランパス戦(1-0)に途中出場して、戦列復帰していた山田楓だが、先発出場は5月19日の第15節FC町田ゼルビア戦(0-5)以来のこと。スタメンに名を連ねた山田楓は、先制点につながるコーナーキック(CK)を蹴り、高い位置で横浜FMのビルドアップを封じてチャンスを作り出した。
同じく先発起用されたFW山見大登、FW山田剛綺とともに後半10分に交代となったが、「『前の3人は前半で代わる気でやれ』と言われていたので、前半でほぼ出し切っていました」と笑った。
この日、チームを勝利に導けたことは大きな自信になったようだ。「自分たちがボールを持つ時間が増えたら、それに適応して自分の持ち味を出せる。相手の時間が続けば、難しい時間でも自分がちゃんと適応してチームのために戦えることが証明できた。もう、どんな状況でもウェルカム。どんな状況でも自分の特徴を出せる1つの大きな武器を持っている」と、胸を張った。
ただ、久しぶりの先発出場ということで、試合前は「この1試合、正直試合前は久しぶりのスタメンで50%が楽しみ、50%が不安だった」と、余裕がなかったと明かした。それでも、2つの声が山田楓を奮い立たせたという。
1つ目の声はファン・サポーターの声。「ピッチに入る時に声援を聞いたら『やらなきゃいけない』っていうくらいの大きな声援だったので、込み上げてくるものがあったし、『久しぶりだからできなかった』と言っていられないくらいの熱量だった。これからもそういう気持ちを忘れずに、自分がやらないといけないことをちゃんとやっていこうかなと思いました」と語った。
そして、2つ目はチームメイトたちの気配りの声だ。「正直、アップをしている時でも、ホンマに身体が思うように動かへんし、気持ち的にも『大丈夫かな』という不安があった。でも、試合直前に割り切れた。自分がそういう(不安な)感情だということを察して、みんなが『楽しめ』とか『お前らがハードワークしてくれたら、俺らが守るから』とか『チャンスがあったら打ってこい』とか、声をかけてくれた。そういう仲間に救われた感じですね」と、笑顔を見せた。
7月3日にはパリ五輪を戦うU-23日本代表メンバーが発表される。U-23アジアカップの優勝メンバーの1人でもある山田楓だが、「オリンピックのことは、一切、考えていない。もちろん行きたいけど、行かない勇気、目指さない勇気というか、そこを目指さないその覚悟の勇気は休んでいる間もいい方向でとれた」と言い、次節のセレッソ大阪戦に向けて、「その試合の時には(五輪のU-23日本代表が)決まっていると思うが、入っていても、入っていなくても関係なく、自分のできることをしっかりやろうと思う」と言い、与えられた目の前の試合で、見せ得る最高のパフォーマンスを継続して出していくことを誓った。
(河合 拓 / Taku Kawai)