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ジェラードが差し出したバトン スターリングがリバプールとの契約延長へ
偉大なキャプテンの思いを引き継ぐ男
先日、MFスティーヴン・ジェラードが、下部組織を含めて17年を過ごしたリバプールを離れる決断を下した。アカデミーからトップに昇格してチームをけん引する選手は、リバプールに限らず、リーグ全体でも少なくなってきている。その象徴こそがレッズの背番号「8」であったが、そのジェラードさえも旅立ちのときを迎えようとしている。
6カ月後には偉大なキャプテンの姿が、アンフィールドから消えてしまう。衝撃的な退団表明にサポーターだけでなく、チーム内にも激震が走った。副キャプテンのMFジョーダン・ヘンダーソンは、「大きすぎるショックだ」と落胆を隠すことができなかった。
このタイミングで届いたエース残留濃厚の報道。幼きころから憧れていたヒーローの幕引きが、彼を思いとどまらせ、同じ道をたどってきた自分が後を継ぐべきだと悟ったのかもしれない。
そして、ジェラードは、レッズでの最後の目標に「リバプールをトップ4に戻すこと」を掲げた。それは、図らずもスターリングが熱望する来季CL出場圏内と合致する。チームメートとともに、若きエースはキャプテンの最後の花道を飾るため、奮い立っているに違いない。
ジェラードは、ベテランの領域に達し、すべての試合にフル出場することがかなわなくなったことを誠実に受け止めている。だが、その彼は、先日のインタビューでこうつぶやいた。
「監督とは、24歳の時に会いたかった。32歳ではなく、いつまでも走り続けられることができた、24歳の時ならね…」
選手として晩年を迎え、気を使われ、管理される立場となった。ジェラードは、ブレンダン・ロジャース監督との出会いが遅すぎたことを、静かに悔やんでいた。しかし、それはどうにもならないことだった。
20歳のスターリングは、ジェラードが望んでもかなわない立場にいる。数少ないアカデミー出身者として、ジェラードなきレッズの顔を担う。赤き誇りのバトンを受け取るため、スターリングは契約に向け、そのペンを握りしめた。そう思わずにはいられない。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images