日本がW杯アジア最終予選で過去2度連続の過ち…9月ホーム初戦でよぎる懸念事項【前園真聖コラム】
日本は豪州、サウジアラビア、バーレーン、中国、インドネシアと同じグループC入り
アジアサッカー連盟(AFC)は6月27日、2026年北中米ワールドカップ(W杯)のアジア3次(最終)予選の組み合わせ抽選会を行った。その結果、日本はオーストラリア、サウジアラビアなど前回予選でも対戦した強豪と同一グループに入り、本大会出場を懸けて戦うことになった。今回の予選のポイントはどこになりそうか、元日本代表MF前園真聖氏に解説してもらった。(取材・構成=森雅史)
◇ ◇ ◇
2026年北中米W杯アジア3次予選の組み合わせと日程が決まりました。どのグループに入っても簡単ではなかったと思いますが、2位に入れば出場できますし、今回はグループ4位のチームまでW杯出場の可能性が残るということで、出場枠が広がったメリットは十分にありそうです。
もっとも、日本はしっかりこの3次予選でW杯出場を決めなければいけません。オーストラリア、サウジアラビア、バーレーン、中国、インドネシアという相手に苦戦ばかりだとすると、本大会での躍進など望めるはずがないからです。
オーストラリアとは毎回予選で対戦していますから、よく相手のことが分かっていると思いますし、オーストラリアそのものもスタイルが変わりません。前回の予選では2勝しているので恐れる必要はないと思います。
それよりも、サウジアラビアが厄介そうです。前回の予選ではアウェーを0-1で落としてしまいました。今年開催されたアジアカップではベスト16では1-1からPK戦で敗れてしまいましたが、韓国を苦しめていました。ただ、日本は前回予選のホームで2-0ときちんと借りを返した相手でもあります。
バーレーンは日本がアジアカップのベスト16で対戦し、3-1と下した相手です。中国とは前回の予選で対戦し、2勝しました。インドネシアとは今年のアジアカップ、グループリーグ第3戦で戦って3-1と勝利を収めています。
そう考えるとどこも決して恐れるような相手ではないのですが、それでも注意すべきポイントがあります。
初戦のホーム中国戦で勝ち点3を取るべし
まずは初戦となるホームの中国戦です。前回の最終予選初戦はホームのオマーン戦で、固く閉じられたオマーンのゴールをこじ開けられず、逆に後半43分、サイドを破られ決勝点を許してしまいました。さらに前々回も初戦となったホームのUAE戦で、前半11分に本田圭佑がヘディングで先制するものの、同20分にはフリーキックで同点にされ、後半9分にはPKで決勝点を奪われて負けてしまいました。
つまり、ここまで2回連続、3次(最終)予選の初戦をホームで落としているのです。これはどちらの試合も9月だったという要因があります。
9月はヨーロッパのシーズンが始まったばかりで、移籍したり、監督が代わったり、あるいは同じポジションに強力なライバルが移籍してきたチームの選手は、レギュラーポジションを掴もうと集中力を研ぎ澄ましています。試合に出られなくなっている選手もいるはずです。その最中にチームを離れて代表活動をするのは精神的に難しい部分があるのは間違いないでしょう。
ただ、これまでと同じ失敗を3回繰り返すわけにはいきません。シーズンが始まって選手がどんな状態なのかコンディションがどうなのかを素早く把握し、代表チーム内での序列をもう一度整理して、その時のベストのメンバーで中国からしっかり勝ち点3を挙げることが重要です。
次に、2戦目と3戦目のアウェーできちんと勝点を積み上げることが必要です。9月のバーレーン戦、10月のサウジアラビア戦と中東での戦いが続きます。中東で、中東の国に勝つのは難しいと今年のアジアカップで改めて分かったことだと思います。だからこの2試合では最低でもそれぞれ勝ち点1をしっかり挙げておくことが、その後の展開を有利にしてくれるはずです。
そうすれば、そのあとは自然に勝ち点を積み上げられていけるのではないでしょうか。カタールW杯後に森保一監督が行ってきた、連戦の時はターンオーバーを使うという戦い方も有効的でしょう。
理想とすれば3月のホーム連戦、バーレーン戦とサウジアラビア戦あたりでW杯出場を決めたいものです。ただ、そうそう思いどおりに行かないのがW杯予選。今回も手に汗を握ることになりそうです。
(前園真聖 / Maezono Masakiyo)
前園真聖
まえぞの・まさきよ/1973年生まれ、鹿児島県出身。92年に鹿児島実業高校からJリーグ・横浜フリューゲルスに入団。96年のアトランタ五輪では、ブラジルを破る「マイアミの奇跡」などをチームのキャプテンとして演出した。その後、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)、湘南ベルマーレの国内クラブに加え、ブラジルのサントスFCとゴイアスEC、韓国の安養LGチータースと仁川ユナイテッドの海外クラブでもプレーし、2005年5月19日に現役引退を表明。セカンドキャリアでは解説者としてメディアなどで活動しながら、「ZONOサッカースクール」を主催し、普及活動を行う。09年にはラモス瑠偉監督率いるビーチサッカー日本代表に招集されて現役復帰。同年11月に開催されたUAEドバイでのワールドカップ(W杯)において、チームのベスト8に貢献した。