ACL2試合9得点…浦和のゴールラッシュが起きた理由 選手の証言から浮かび上がるJリーグとの違い
武藤がポツリ「Jリーグのチームは…」
これまでも、浦和の5人の選手が最前線に張り出す特殊なサッカーに相手が戸惑っているうちに、決定機は作り出していた。しかし、そこでゴールができずに次第に相手が慣れ、結果的に強力な外国人アタッカーのゴールにより敗れる展開が多かった。そのため、指揮官は試合後に「内容は良かった」という言葉を残してきた。しかし今季は、その作り出したチャンスをゴールにつなげていることで、内容を結果につなげている。
その一方で、武藤はポツリとこうつぶやいた。
「Jリーグのチームはすごく対策してくるので」
18日のゼロックス杯で対戦した鹿島アントラーズや、25日のリーグ開幕戦で対戦した横浜F・マリノスは浦和対策を研究し尽くし、守備戦術を整理して臨んできた。そうしたなかでゴールを奪うのは簡単ではなく、マリノス戦はMF齋藤学という強烈な個を持つ選手に屈した。年間で何度も対戦し、スカウティング映像や戦術の確立がしやすい国内での戦いには、そうした困難がある。
浦和はACLの次戦で中国の上海上港と2連勝同士の対戦を迎える。前線にはブラジル代表MFオスカル、同代表FWフッキといった強烈な選手が揃う。これまで見せてきたように、相手が面食らっている間のゴールで主導権を握れるのか、強烈な個を持つ選手に屈してしまうのか。興味深い一戦になりそうだ。
【了】
轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images